倒産・民事再生/倒産・民事再生の基本

会社が倒産する前に担当者が準備すべき4つのポイント(3ページ目)

長引く景気の低迷で、企業の破産、民事再生といった倒産に関連する話題をしばしば耳にします。ただ、いざ自分がその当事者になったとき、一体何をすれば良いのかはあまり知られていません。このような非常事態にこそ、普段以上に綿密な準備が必要です。今回は会社が倒産をするにあたって、重要な4つのポイントについて解説します。

執筆者:榊原 正治朗

関係者への対応の準備

関係者の負担を軽くするために

関係者への負担はできるだけ軽くしましょう

これまでの説明が倒産手続きを申し立てるために不可欠な準備事項ですが、倒産によって関係者への迷惑や負担をなるべく軽くするために、次の事項についても留意しましょう。

1. 従業員
従業員が退職する際に通常必要な諸手続(例えば、雇用保険の離職票や源泉徴収票の作成、交付など)は倒産による解雇時でも必要です。また、事業停止日に突然解雇を言い渡すことが多いと思いますので、その場合には予め30日分の解雇予告手当も計算して、当日、従業員へ書面で案内できると良いでしょう。解雇を言い渡されて不安になっている従業員も、会社がきちんと最後の準備を整えていることが分かれば、少しは安心して再出発ができます。

2. 得意先
事業停止で商品の出荷が止まると、代金前払いをいただいている得意先やお客様には特にご迷惑を掛けます。倒産後の在庫商品は二束三文でしか処分できなくなることも多いので、できる限り事業停止前までに納品を済ませておきましょう。

3. 仕入先
事業停止直前に平時以上の仕入れを行うと、取り込み詐欺の疑いをかけられます。また、税金や社会保険料といった優先的に支払われる負債額が多いと、一般の債権者への支払いは全くないこともありますので、社内的に倒産が決まったら、徐々に取引量を減らす努力もしておいた方が良いでしょう。なお、倒産直前に一部の親しい仕入先のみに代金全部を支払うといった行動は、債権者間の不公平を招くことになりますので控えましょう。


最後の一大プロジェクトとして取り組もう

倒産の準備は、ごく一部の社内関係者だけで、限られた時間のなか、平常業務と並行しつつ、慣れない作業をしなければならない、という点で大変な作業ではあることは間違いありません。ただ、会社の倒産手続きの概要が分かれば、必要以上に恐れることはないと思いますし、会社にとって最後の一大プロジェクトという気持ちで取り組んでいただければ良いと思います。

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