支給額算出の方法
海外療養費は提出書類の審査を経て、給付金額が算定されるのですが、これは海外で支払った治療費をもとに算出されるのではなく、日本国内で治療を受けた場合に給付される金額を基準として決定した標準額によって算出されるものです。例えば、海外で歯科治療を受け10万円かかったとします。しかし、これと同じような治療を日本で受けた場合の平均的な金額が2万円だった場合、この金額が標準額となるのです。そのため、差額である8万円は自己負担になります。
さらに、実際に支払った医療費(10万円、実費額/支給決定日の外国為替レートで円に換算)が標準額(2万円)よりも大きい場合は、標準額(2万円)から被保険者の一部負担金相当額(一般被保険者の場合は3割=6,000円)を控除した額(1万4000円)が支給額となります。したがって、自己負担額は先の負担額8万円と合わせて、合計86,000円となります。
実費額が標準額(2万円)よりも小さい場合は、実費額(例えば1万円)から被保険者の一部負担金(一般被保険者の場合は3割=3,000円)相当額を控除した額(7,000円)が支給額です。
帰国後、申請に必要な書類
書類の不備などを理由に払い戻しが受けられないケースも出ているので、海外渡航の際には、あらかじめ管轄の組合や健康保険窓口に確認しておくといいでしょう。保険組合や市町村によっては、海外治療費支給申請書を英文と日本語表記で用意しているところもあるので、事前に入手しておくと便利です。■現地で必要なこと
現地では一旦、治療費全額を支払います。その際、帰国後の申請に必要となる書類に記入してもらいます。別途費用がかかることもありますが、その場合は申請者の負担となります。
■海外の医療機関で記入してもらう書類
・診療内容明細書(Attending Physician's Statement)
医療機関などが発行する診療内容の証明書
・領収明細書(Itemized receipt)
支払済みの医療費の内訳が分かる領収書
※月がまたがる場合は、1ヵ月分ごとに証明を受けること
■書類の入手先・提出先
健康保険の場合 →社会保険事務所、または加入している健康保険組合
国民健康保険の場合 →住民票のある市区町村役所の担当窓口
■帰国後の手続き
窓口でもらえる治療費支給申請書に記入し、上記の書類を添付して、払い戻しを請求します。規定に沿った内容であれば、後日払い戻し手続きが行われます。
書類が日本語以外で記入されている場合は、日本語の翻訳文(翻訳者の住所および氏名を記載) が必要となります。翻訳費用は申請者の負担。内容が正確であれば、自分が訳したものでもかまいません。