幅広いフジ系
まずはドラマ枠が6つもあるフジ系。さまざまな視聴者層に向けて多彩な内容を繰り出しています。看板の月9は木村拓哉主演の『PRICELESS~あるわけねぇだろ、んなもん!~』。部下にも慕われる課長だった主人公・金田一二三男(きんだいちふみお)は、社長が変わったことから会社を追われ、家も爆破! しかし、幼い子兄弟に出会ったことでお金がなくても生きていく術を学びます。共演に香里奈、中井貴一。
視聴率男といわれた木村拓哉ですが、前作の『南極大陸』とフジテレビでの前作『月の恋人』と二連敗中。もはや名前だけでヒットする時代じゃない、内容がどうかでしょう。
フジ系、次の注目作は火曜22時の関西テレビ制作枠。主演は『結婚できない男』『白い春』など、この枠のエース阿部寛、脚本・演出に『幻の光』『誰も知らない』『ワンダフルライフ』などの映画が海外で評価される是枝裕和の『ゴーイングマイホーム』。
人が良く、仕事でも家庭でもいつも板挟み状態の坪井良多(阿部)。ある日、疎遠になっていた父(夏八木勲)が「妖精」を探しに行った長野で倒れたとの知らせが。そのことをきっかけにさまざまな人と出会い、後回しにしていた家族の問題に向き合っていくと、家族を一味違った視点で描くことが多い是枝作品らしい内容です。妻役に『ロング・バケーション』以来16年ぶりに連ドラ出演する山口智子、謎の女に民放ドラマは久しぶりの宮崎あおいと、キャストにも注目です。
『ゴーイングマイホーム』は東京と長野を行ったり来たりになりそうですが、一時間前の火曜21時枠は、高知県四万十川が舞台の『遅咲きのヒマワリ~ボクの人生、リニューアル~』。
派遣切りにあい、途方に暮れていた小平丈太郎(生田斗真)は、地域おこし協力隊募集を見て四万十市へ。エリート医師だが故郷に都落ちの二階堂かほり(真木よう子)をはじめ、桐谷健太、香椎由宇、柄本佑、木村文乃らが演じる若者たちの日常と成長を描きます。
脚本は『僕の生きる道』などの僕シリーズや、この火曜21時枠の『フリーター、家を買う』で同じく就職難を描いた橋部敦子。『北の国から』『白線流し』『Dr.コトー診療所』など、フジテレビの名作地方ドラマ路線に連なることができるでしょうか。
木曜22時の木曜劇場枠は、菅野美穂・天海祐希ダブル主演の『結婚しない』。
独身に不安をおぼえる34才の田中千春(菅野)と上司との長い不倫を経験し、結婚しない道を選択した44才の桐島春子(天海)がひょんなことから同居、結婚しない女たちの恋愛と友情を描きます。スタッフは『私が恋愛できない理由』組で、そのアラサー・アラフォー版になりそう。
土曜23時10分からの土ドラ枠は『告白』の原作者、湊かなえが自ら脚本を書く『高校入試』。
名門県立高校の入試を前に、それを妨害するという掲示板の書き込みが。さまざまな事件が起きる入試前日と当日の二日間を描きます。主演は帰国子女で思ったことはすぐに口にする英語教師役の長澤まさみ。演出がベテランながらフジテレビでもっともトンガッた映像の星護というのも楽しみです。
最後に日曜21時のドラマチック・サンデー、この枠は『マルモのおきて』などホームドラマ中心ですが、今度はガラっと変わって『TOKYOエアポート~東京空港管制保安部~』。
映画『ハッピーフライト』を担当した関口大輔プロデューサが、その経験を元に航空管制官を描いたCSのフジテレビNEXTで、3Dドラマ『TOKYOコントロール』を制作。その好評を受け、今度は羽田空港を舞台にした地上波版。『TOKYOコントロール』の川原亜矢子主演に対して、今度は新人管制官役の深田恭子主演でおそらく成長物語になるのでしょう。主幹管制官・結城昇(時任三郎)が共通キャラとして登場、リアリティあるドラマになりそうです。
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