500万円を超えたら株式の分散投資も
深野さんが提案する「5カ条」を守っていれば、資産が500万円を超える頃には、投資商品に充てる金額も150万円程度になっているはず。150万円を国内外の株と債券に4分の1ずつ投資したとすれば、各資産への投資金額は37万円程度です。「40万円弱のお金があれば、投資額が大きくない銘柄であれば2銘柄くらい買えるかもしれません。そう考えると、資産が500万円を超えたら、本格的に株式投資デビューをしてもいいタイミングです」
株式投資のビギナーは、往々にして「有名な会社だから」とか「人気がありそうな銘柄だから」という理由で、投資する銘柄を選びがちです。
「ですが、有名な会社イコール業績のいい会社とは限りません。つまり、投資対象として魅力のある会社だとは限らないのです」
知っている会社だからという理由で飛びつくことは厳禁。その会社の業績や将来の成長性などを調べ、「今後も成長しそうだ」と思えたら投資するという手順が不可欠です。とはいえ、「業績のチェック」などといわれると、「難しそう……」と尻込みする人もいるのでは?
「投資したい会社のホームページにアクセスして、『IR情報』を選択し、『決算短信』で売上げや、本業の利益である営業利益、その会社の収益力を示す経常利益をチェックします。ポイントは、営業利益や経常利益が赤字になっていないか、売上げも営業利益も経常利益も毎年順調に伸びているか、来期予想が今期に比べて伸びそうかどうか、ということ。これを見れば、儲かっている会社かどうか、今後も成長できそうな会社かどうかがわかります」
営業利益や経常利益という言葉は取っつきにくい感じもしますが、チェックすべきポイントさえわかれば、見方は意外と簡単です。
インカム収入を得ることも考えよう
「ある程度の資産ができたら、それを活かして配当や分配金などのインカム収入を得ること、つまり定期的に不労所得を得ることも考えましょう」少子高齢化が進む日本では、この先、高度経済成長など望めません。また、世界の景気も先行き不透明です。そんな状況下ですから、常に「イザという時」の備えをしておく必要があります。
「はじめにお話をしたように、半年分の生活費があれば、いきなり家族揃って路頭に迷う心配はないでしょう。でも、それでは十分とはいえません。万が一の事態に備えて、インカム収入を得る方法も考えておく必要があるのです」
定期的なインカムが期待できる商品としては、債券があります。
「低金利の日本の国債では、なかなかお金が増えません。外国の債券は、為替変動リスクがあります。また、しばらくは円高が続きそうなことを考えると、『為替ヘッジあり』の外債ファンドは魅力的な商品です。もうひとつ加えるとすれば、複数のREITに分散投資するリートファンドです」
REITとは、投資家から集めたお金でオフィスビルや商業施設、マンションなどの不動産に投資し、賃料収入や売却益を分配金として投資家に分配する投資信託の一種です。株式市場に上場し、株式と同じように売買することができます。
「もちろんREIT自体に投資しても構いませんが、それは何本も上場するREITから、これだと思えるものを選べるようになってから。はじめは投信積立でREITファンドを買い、分配金を得ながら、REITについて勉強していきましょう」
(→前月の特集「1000万円貯めた達人のマネー習慣・不労所得を得るために奮闘する達人」も参照を)
★深野先生オススメのリートファンドはコレ
三菱UFJ投信
『eMAXIS国内リートインデックス』
三井住友トラストアセットマネジメント
『SMTグローバルREITインデックス・オープン』
ついに1000万円を達成!資産運用をどう続ける?
監修/深野康彦(ファイナンシャル・プランナー) 取材・文/大山弘子 イラスト/竹松勇二
デザイン/引間良基