資産が大きくなったら、様々な投資にチャレンジを
「積立預金と定期預金、投信積立と株式投資で、資産が1000万円を超えたら、そこからは、さらに投資のスキルをアップさせ、より加速度的にお金を増やせるようにしていきたいものです」FP深野康彦さんのいうように、資産1000万円はひとつの目標であって、資産運用のゴールではないはずです。
「資産が1000万円まで増え、かつ、資産全体に占める貯蓄と投資の比率を6.5対3.5以内におさえていれれば、相場が急変して株や債券、リートの価格が下がったとしても、残りの積立預金や定期預金がありますから、持ちこたえることができるでしょう」
資産額が大きくなると、そのぶん、資産の変動への耐性も高まるというわけです。
運用資金が大きくなったら、金を買うという選択肢も
資産額が大きくなったら、資産を増やす一方で、資産を守ることを考える必要もあります。そのためには分散投資が不可欠。資産の一部で金を持つことも選択肢のひとつです。「金は実物資産ですから、価格が変動することはあっても、価値がゼロになることはありません。そのため、資産の一部で金を持つことによって、相場の変動で資産全体が増えたり減ったりすることを、多少なりとも和らげる効果も期待できます。とはいえ、金は利息を生まないので、インカム収入は得られません。金を持つなら、資産全体の5%程度に止めるべきでしょう」
金に投資する商品としては、毎月一定額ずつ金を買う純金積立がよく知られています。また、金価格に連動する、投資信託の一種で株式市場に上場し、株と同じように取引ができる金ETFもあります。三菱UFJ信託銀行の金ETF「金の果実」は、まとまった口数のETFを持てば金現物と交換することもできます。
一般信用取引でJ-REITを買い分配金をもらう
また、資産が1000万円を超えたら、今までやらなかった投資にチャレンジすることを考えてもいいと深野さん。「たとえば、一般信用取引でJ-REITを買うという選択肢も考えられます。少ない資金で、J-REITの現物株を購入した場合と同等の分配金を得られるため、お金を効率的に運用することができます」
信用取引とは、現金や株式を担保(委託保証金)にして証券会社からお金を借りて、株式を購入する方法です。差し入れた現金や株式の3倍程度の売買ができるケースが一般的です。手持ちのお金以上の取引ができるので、効率のいい運用が期待できます。その反面、株価が下がった場合には、大きな取引をしているぶん、損失も大きくなる危険も。また、損が大きい場合には、預け入れた株や現金がなくなってしまう恐れもあります。
なお、信用取引には、証券取引所などの規定で信用取引を終える期間が定められている制度信用取引と、取引を終える期間などのルールが証券会社ごとに異なる一般信用取引とがあります。後者の場合、信用取引を終える期間に制限がない証券会社もあります。そのため、リスク管理をきちんとすれば、少ない資金でJ-REITの分配金を得続けることも可能です。
「信用取引は、効率的に利益を得ることができる半面、リスクも高いので、投資に慣れた人にだけすすめたい投資手法です。また、実際に始めるにあたっては、しっかり勉強をして仕組みを十分理解することが非常に重要です。大切なことは、運用資金が大きくなるほど、選択肢も増えるということ。そのぶん、リスク管理もしっかりと行う必要があります」
(→前月の特集「1000万円貯めた達人のマネー習慣・1000万円貯めた後は世界の一流企業に分散投資をしているカリスマブロガー」も参照を)
次ページでは、運用編のまとめと気をつけたいことをおさえましょう。
監修/深野康彦(ファイナンシャル・プランナー) 取材・文/大山弘子 イラスト/竹松勇二
デザイン/引間良基