恋愛/アラサー女子向け恋愛コラム

女の若さと美しさが恋愛にもたらす影響とは?(2ページ目)

女の人生は、なかなか難易度が高い。現代女性ならなおのこと。仕事、遊び、恋愛、結婚、出産、自己実現……さまざまな課題や魅力的なアトラクションが用意されているにもかかわらず、一方では、女としての生と性。若さや美貌には、期限があるからだ。そんな刹那を背負わされた女の人生について、その真理をついているのが、話題の映画『ヘルター・スケルター』だ。

執筆者:All About 編集部

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若く、美しくありたいという欲望の暴走

へルタースケルター

地味な女より、衆目集める美しい女でありたいのは、女なら誰しも抱く願望(c)2012映画『ヘルタースケルター』製作委員会

女なら誰しもが願う「若くありたい。美しくありたい」という終わりなき欲望の根源にあるものは、「他者に愛されたい、欲望されたい」という本能であり、また、その愛され、欲望されりという欲望を飼いならさないことには、女は女として生きられない。

りりこのように全身整形まではせずとも、ほとんどの女はメイクやダイエットや美容で若さと美しさを演出する。つけまつ毛やハイヒールや補正ブラで、なんてことのない自分を懸命に盛ってみせようとする。

けれど、その若さや美しさが恋愛の武器にはなれど、若くて美しい女が恋愛の勝者になれるとは限らない。しかも、その欲望は呼び水となってさらなる欲望を呼び込むという危険なトリックがあることも知っていて欲しい。

愛し、愛される構造が空回りし、歪みだす恐ろしさ

へルタースケルター

目についたものは、すべて手に入れるのが、心が乾いた人間の特徴(c)2012映画『ヘルタースケルター』製作委員会

愛されたいという切なる欲望は、若く美しくありたいという欲望を煽り、その2つはからみ合いながら、際限なく、深まっていく。

それは、他者との関係性においても同じこと。男はたしかに若くて美しい女が好きだけれど、若さと美しさを求める男の欲望に答えるほどに、女は若さと美しさがないと愛されないと思い込み、渇望感は強まって、どんどん苦しくなっていく。本能と孤独感ゆえに、若く美しい女を、どんどん消費してしまう男もまた、愛に対する枯渇感を募らせていく。

本作では、そんなドラッグのような欲望でつながりあう男と女の間に生まれる、枯渇感や共依存の闇ついても描いている。りりこは、大衆の歓声を集め、御曹司に愛されるために、美しさと若さを極め続け、恋人からファンまで他者の欲望を煽り続けるが、心が満たされることは決してない。

さらに興味深かったのは、“他人に欲望される女”になろうと努力し続けていると、いつのまにか、女はみんな似てくるという現実。“美魔女”や“渋谷系ギャル”ように、コスプレ感が強くなり、カテゴライズされるようになっていく。そうなると、もはや、自分を盛る努力は、男に愛されるためではなく、女の賞賛を集めることにシフトしていくし、そのうち、誰かのためですらなくなっていくことに本作を観て、改めて気付かされた。

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