先日、パナソニックの彦根工場に行きました。というのも9月1日に発売となる男性用シェーバー「ラムダッシュ」シリーズの新モデルを発表したから。今回の気になるラインナップは、全自動洗浄充電器が付属している 「ES-LV92」「ES-LV82」「ES-LV72」の3種と、ACアダプター充電の「ES-LV52」の合計4機種です。
KIZUNA館

彦根工場にあるKIZUNA館。パナソニックのシェーバーの歴史や懐かしいCMなどを見ることができます


新製品の詳細は後ほど詳述するとして、ここではガイドが見聞したパナソニックの誇る技術のお話しをしてみたいと思います。

メイド・イン・彦根である2つの理由

あまり知られていないかもしれませんが、実は男性用のシェーバーは滋賀県の彦根工場と中国・広州工場にわけて生産しており、上位機種のみ彦根工場で生産しているのです。

日本での生産にこだわる理由として同社は「技術力」と「技能・人(匠)」の2つの理由を掲げています。

まず、「技術力」。シェーバーの命ともいうべき刃。その素材は島根県・安来市の「安来鋼」を採用しています。これは日本刀と技法に由来した「鍛造プレス」「焼入」「研削」という技法を用いたもので、オリジナルの「ステンレス刃物鋼」に加工してから使用しているのです。
パナソニック

ステンレス刃物鋼を加工する前の板状のものはこんなにも薄い。ここから刃を形成していきます


この「ステンレス刃物鋼」は通常の「ニッケル電鋳加工刃」に比べると、硬くて丈夫です。つまり、刃の寿命が格段に違うというわけ。電気シェーバーの場合、刃は約2年で取り替えるのが基本。その間、快適に使うのであれば硬く丈夫なもの方がベターです。

職人の力を最大限に生かす環境

次に「技能・人(匠)」。たとえば、精密であるがゆえに、市販の金型などでは対処できず、さらに改良を加えるため、道具から作り出すという職人たちの技も見逃せません。

前述した「ステンレス刃物鋼」のように非常に強いステンレス刃物鋼を加工するには金型が必要です。しかし、その元になる金型を加工するのに「エンドミル」と呼ばれる細い工具から手作りしているのです。その先端は、なんと70μm
パナソニック

エンドミルを調整する職人。彦根工場でもこれができるのはほんの数人しかいません


そして、そのエンドミルを作ることができる技術者は彦根工場に数名しかいません。さらにその技術を習得するまでには20~30年という気の遠くなる時間が必要です。通常の業務の中で後進を育て、技術を継承していくには国内生産が必須。同社が彦根にこだわるのは、単に価値を上げるためではなく、日本でしか、なし得ないからというのがわかります。50年の歴史がある彦根工場には職人のみなさんの連綿としたつながりがあるのです。

昨今、私たちはコストパフォーマンスという面だけで製品を語りがちですが、このような製品の裏側にある作り手たちの努力に目を向けるべきではないでしょうか。それが日本のモノ作りをもう一度、元気にすることにつながることでしょう。今回、工場を訪れて職人と呼ばれる人々や製造に携わる人々の仕事を拝見するうちに、モノ作りへの情熱を感じることができました。

さて、次のページでは新ラムダッシュの改良点とパナソニックのシェーバーの歴史を振り返ります。