口の中で最も歯周病の治療がしにくい場所とは?

根分岐部病変

根の枝分かれ部分が黒く見えるのは、細菌が感染して骨が溶けている状態

それは奥歯の歯の根が枝分かれしている部分(分岐部)です。歯は大臼歯と呼ばれる奥歯で、約90%以上の確率で枝分かれが起こります。この場所を「根分岐部(こんぶんきぶ)」といいます。この部分に歯周病や炎症などが起こると「根分岐部病変」と呼ばれ、治療が難しい場所の一つとなっています。

歯の根は前歯が通常1本。奥歯が枝分かれして2~3本あるのが一般的です。下の奥歯は枝分かれした根が2本。上の奥歯は根が3本に分かれていることが多いようです。この枝分かれが始まる場所は、健康であれば、歯ぐきの下のさらに骨の中に隠れていてレントゲン以外では確認することはできません。大体歯ぐき表面から約5~10mm程度奥の部分にあります。

しかし歯周病が進行して、歯の周囲の骨が溶けてしまうと、歯ぐきが下がって根分岐部が露出したり、歯ぐきの内部が空洞になって歯周ポケットが深くなり、プラークが入り込むようになります。こうなるとうずいたり、腫れたりして違和感が感じられるようになります。


根分岐部が治療困難なワケ

根分岐部が、最も歯周病が治りにくいと言われるのには次のような理由があります。

■場所的に手探りの治療になりやすい
まず奥歯は口の後方にあり、根分岐部は歯ぐきのさらに奥にあることが多く、治療するにも目視が困難で器具が届きにくい場所です。さらに枝分かれ部分が複雑な形状をしていることも多く、完全に歯石や汚れを取ることは非常に難しくなります。

■治療ができても管理ができない
たとえ枝分かれ部分の歯石などをきれいに取り除いても、数日でプラークが付着してきます。このプラークを本来は歯石になる前にブラッシングするのが基本ですが、普通にブラッシングするだけでは、歯ぐきの奥に隠れているため、磨くことができなかったり、隙間が狭いため歯ブラシが届かない、などの理由で歯周病菌が取り残され、蓄積しがちです。

つまり根分岐部病変は、治療しにくく再発しやすいのが特徴なのです。


根分岐部病変の治療法

一般的に積極的な治療としては、2つの方法があります。ひとつは歯周外科手術を行い、分岐部の骨が溶けているスペースに膜を設置して、あごの骨を誘導したり、人工骨を補填したりして、根分岐部を再び骨の中に隠してしまう方法です。

もうひとつは歯の神経を抜いて、分岐部を削って根を2つに分けたり、一部の歯を抜歯したりして、分岐部を積極的に歯ぐきの上に露出させ、ブラッシングが可能な形態に修正する方法です。根を2つに分けた後は、それまで大きな1つの歯だったものを、小さな2つの歯をかぶせて作り替えます。前者が選択できる場合は限定的で、一般には後者が行なわれることが多いようです。

非外科的治療としては、歯の神経を抜いたり、歯周外科手術などをせずに、まずできるだけ根分岐部周囲のブラッシングを行ないつつ、歯医者さんで定期的(1~6カ月ごと)に根分岐部の清掃を行なってもらう方法です。大きな処置をせずに済みますが、自己管理だけでは維持が難しい場合は、定期的清掃が行なわれなくなると、すぐに再発し、悪化します。

このため根分岐部病変をできるだけ作らないように、普段からブラッシングで歯周病や虫歯の予防をすることは、奥歯の寿命を延ばすためにもとても重要なのです。
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