起立性調節障害とは
立ちくらみなどの症状があります
座っていたり、寝ていた時から立つと、本来、下半身、特に、足の血管が収縮して、血液量を減らして、頭や心臓などへの血液量を増やします。ところが、起立性調節障害は、立った時に、下半身の血管が収縮せずに、下半身に血液がとどまり、頭や心臓などへの上半身の血液量が減り、様々な症状を引き起こします。血管が収縮しない原因として、子供から大人に変わっていく思春期にみられる自律神経とホルモンのバランスが不安定になるために起こります。
起立性調節障害の診断のための症状
この病気の診断には症状が大切になってきます。厚生労働省の診断基準を判りやすく示します。大症状(よく出てくる症状)
- 立ちくらみ、あるいはめまいを起こしやすい
- 立っていると気持ちが悪くなる、ひどくなると倒れる
- 入浴時あるいは嫌なことを見聞きすると気持ちが悪くなる
- 少し動くと動悸(ドキドキする)あるいは息切れがする
- 朝なかなか起きられず午前中調子が悪い
- 顔色が青白い
- 食欲不振
- おへその辺りに激しい痛みをときどき訴える
- 倦怠あるいは疲れやすい
- 頭痛
- 乗り物に酔いやすい
- 起立負荷試験で陽性になること
起立性調節障害の検査
起立負荷試験があります。この試験は、安静にして寝ている状態で、血圧、心拍数を測定し、その後、立ちます。立ってすぐ、5分後、10分後に血圧、心拍数、可能なら心電図を測定します。■血圧を測定
血圧には、収縮期血圧・最高血圧と拡張期血圧・最低血圧の2つがあります。よく、血圧の上と下とも言われています。血圧は昔、水銀を使って測定していたので、mmHg という単位を使います。Hgは水銀の化学式です。
■起立負荷試験後に血圧を測定
脈圧と言って、収縮期血圧と拡張期血圧の差ですが、この脈圧が狭くなる狭小化が16mmHg以上で陽性になります。
例えば、収縮期血圧120mmHg/拡張期血圧80mmHg(脈圧40mmHg)の人が収縮期血圧95mmHg/拡張期血圧75mmHg(脈圧20vmmHg)になると、陽性です。
収縮期血圧が起立時に21mmHg以上低下すると、陽性になります。上の例では、120mmHgから95mmHgと25mmHgも下がっていることになり、陽性になります。
心拍数は脈拍数とも言いますが、1分間に心臓が拍動する数です。この心拍数が21以上増えると陽性になります。学童の心拍数は80~90が正常ですから、101~111以上になると陽性になります。
心電図でも異常が出てくることがあります。立った時の心電図で足に付けた電極から測定するII誘導のT波と呼ばれる波が0.2mV以上の高さが減ってしまいます。
次のページに起立性調節障害の治療について説明します。