メルセデス・ベンツ/メルセデス・ベンツの車種情報・試乗レポート

コンパクトでプレミアム“スポーツツアラー”Bクラス(2ページ目)

フルモデルチェンジというに相応しい進化を遂げた2世代目。“コンパクトでプレミアムなスポーツツアラー”、というキャラクターは踏襲、安全性のいっそうの向上とダイナミクスの進化に力が注ぎ込まれた。

西川 淳

執筆者:西川 淳

車ガイド

メルセデスらしいライドフィールを優先

M・ベンツBクラス

最高出力122ps/最大トルク200Nmを発生する1.6リッター直4直噴ターボエンジンを搭載。アイドリングストップ機構も備え、10・15モード燃費は16.4km/lとなる


立体駐車場問題をクリアすべく、日本市場へ導入されるのは20mmローダウンして車高を1540mmとした仕様である。パッケージによって、16インチから18インチまで3つのタイヤサイズが用意された。いずれもメルセデスとしては初めて、ランフラットタイヤが標準で装備される。試乗車は17インチを履くスポーツだった。

先代よりもアグレッシブな佇まいである。なかなか人の目をひくようで、特にメルセデスに限らず欧州車オーナーの視線をよく感じた。Bクラスなんて今さら珍しくもないだろう、と思うのは新車慣れしたこちらだけというわけで、旧型よりも圧倒的にスポーティな雰囲気のデザインが人の気を引きつけるというわけか。

ごくフツウに、乗り込みを特に意識することなく、座席につく。クロスオーバー車なみにステップアップする感覚のあった先代とは、そこからして違った。着座姿勢は端正な垂直型で、とても座りやすい。それにしても、ダッシュボード周りの質感の高さには目を見張るものがあった。スポーティなデザインはもちろんのこと、レザー調のステッチ入りアルティコ(人工皮革)仕立てが、ことによるとCクラス以上の見栄えを提供してくれているのだ。3スポークのステアリングホイールの触り心地もいい。

新型エンジンのフィーリングには、効率重視がきっちりと現れていた。決して気持ちよくは回らないけれども、低回転域でそれと気付かせずに力をだすタイプだ。縁の下の力持ち系、である。やや薄味な回り方をするのは、ダウンサイジング・エンジンらしいヘルシーさの現れ。

DCTの変速は質感重視だ。VW-アウディのように張り切ってシュパシュパ段換えしよう! なんていう歯切れの良さはない。あくまでもスムースさと滑らかさを重視している。そういう意味では、DCTらしい小気味良さには欠けているとも言えるが、そこはメルセデスらしいライドフィールを優先した、ということだろう。


最もご機嫌なのは高速クルージング

M・ベンツBクラス

コンパクトクラスでは初のレーダー型衝突警告システム“CPA”を標準化。これは衝突の危険を察知してドライバーに警告を行い、警告後にドライバーのブレーキ操作が十分でないと判断するとアダプティブブレーキアシストにより制動力を補う、というもの


街中の使い込まれたアスファルト路面では、突き上げを直に感じて、どこか収まりきらない不快な印象を時折もった。けれども、流れにのって速度が上がっていくにつれて、フラットで落ち着きのあるライドフィールを取り戻してゆく。ハンドリングは明らかにスポーティさを増しており、手応えは旧型よりもいっそう乗用車然としたものに。

スポーツツアラーというだけあって、Bクラスに乗っていて最もご機嫌だったのは、高速クルージング時だった。流れをいともかんたんにリードするかと思えば、しっかりと安定した走りをみせる。街中での落ち着きのなさがウソのよう。

デイリーユースでも中長距離移動がフツウというヨーロッパ車の流儀というものだが、おそらく、もう少し熟成すれば、街中での乗り心地も落ち着いてくるはず(事実、海外で試乗したときに比べても、若干、良くなっていた気がする)。なんといっても、ほとんど全刷新のフルモデルチェンジだ。さすがのメルセデスも完成度100%とはいかない。高速なんてほとんど使わない、という人は、もう少し待った方がいい。
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