本物を作り続ける意味
竺仙製の浴衣には、すべて生地の両端にブルーのイヤーマークがついています。技術とセンスに自信があるからこその証です
そんな中であえて本物を作り続けることは、今の時代かえって難しいことでもあります。この点について、竺仙五代目当主・小川文男さんにお尋ねしました。
「消費者の求めるモノは時代の流れと共に変化していきます。昔から良いものが良いということではなく、今の時代に着て下さる方それぞれの使い勝手が良いということも大切な要素。すなわちモノの価値と価格のバランスが適正であることが大切なのです。
しかし、そこには作り手の思いと消費者の求めるものとのギャップが生まれることになる。それをどう埋めていくか、どこにその着地点を見つけていくのかということがこれからの課題だと思っています。
ですから皆さんには手作りのメリットとデメリットを分かって知って欲しい。そのうえで、自分に合う浴衣とはどういうものかということを決めていただければいいのでは」
時代の流れと共に必要に変化してその時代に生きる人達に寄り添ってきたものだけが伝統として生き残る。言わば伝統とは革新の繰り返しでもあります。伝統の技に溺れることなく拘りだけに終わらない、常に着る人の気持ちに寄り添った作品を提供することこそが、竺仙の浴衣がファンの心を掴んで離さない理由とも言えるのです。
■店舗情報
竺仙
所在地 : 東京都中央区日本橋小舟町2番3号
電話番号 : 03-5202-0991