「コスメティック」林真理子 著
「コスメティック」が好きです。今から10年くらい前の本になります。バブル崩壊後、広告業界から化粧品業界に飛び込んだ主人公、沙美。彼女の業界内での成長、というかのし上がっていく様と業界の裏側を鋭く描いた作品です。女性を華やかに美しく見せる化粧品業界。その裏側はこんなにもドロドロしているものかと驚きました。フィクションなのでどこまで本当かはわかりませんが、おそらく大抵事実なのではと思わせるリアルな描写です。
時代背景も面白いです。バブルを経験した沙美だからこそ、息切れするような働きっぷりが一層生きてくるように思います。
また、沙美の男性遍歴も面白いです。ストーリーが進み、立場が変わる事により、付き合っていく男性も変化するのです。彼女にとって恋人は癒しであり、自分を高めてくれる存在でもあれば、ただ消耗するだけのような存在になっている事もありました。自分にはとても真似できなくても、彼女の気持ちに共感する部分は多かったです。
スピーディーな展開で飽きることなく楽しめます。特に女性におすすめしたいです。