脚本家、山田太一(やまだたいち)さん
主な作品:「ふぞろいの林檎たち」「ありふれた奇跡」「終りに見た街」山田太一さんは、日常を描くのが上手な方だと思います。とりたてて大きな事件が起こるわけではないのですが、本人達にとっては重大なできごと。その心の揺れを丁寧に表現しているので現実感を持って観れます。
また、人物設定もよく練られていると思います。自分のせいでクラスメイトが自殺したのではと思い悩む娘、美しすぎて父親に襲われそうになった過去を持つ女性、職人として腕をふるっていたのに慣れない客商売をしている中年男とか。
例えば「ありふれた奇跡」は死にたいと考えたことがある人達の話。他人から見たら大した事ではないけれど、何かをきっかけに人生が嫌になってしまうのは誰にでも起こりうることです。そしてそこからの再生。決してつき放す訳でなく前向きな終わり方も好感が持てました。