実は海岸に自生していた植物
おかひじき(陸鹿尾菜)の名前は、葉の見た目が多肉質で海草の「ひじき」に似ていることに由来します。「みる」という海草にも似ているので、「みるな」「おかみる」とも呼ばれます。最近は、「若芽ひじき」というブランド名も見かけます。英名の「saltwort」は、「塩生植物」を意味し、塩分に強く、海水につかっても生育できる(塩濃度の耐性は、植物により異なりますが)植物を指します。近年登場したアイスプラントも「塩生植物」です。
今では栽培されている野菜ですが、もともとは海岸の砂地に自生する野草でした。日本全国の海岸で自生し、古くから若葉を食用とされてきたと言われていますが、今では海岸の開発などによる環境の変化で自生も減っているそうです。
全国の産地では山形県が有名ですが、庄内海岸に自生していたものが最上川の舟に運ばれた種が内陸部に伝えられ、山形市や南陽市で栽培が広まり、江戸初期には栽培の事実があったと伝えられています。
山形県の置賜(おきたま)地方は、山形県の南部に位置し、盆地に最上川が流れる自然豊かな土地で、伝統野菜や山菜を食材とした独特の食文化が色濃く残る地域。この「山形おきたま伝統野菜(計11品目)」のうちの一つにおかひじきも認定されています。
他に、長野県や千葉県など各地で、おかひじきは栽培されています。露地とハウスの栽培により春から11月頃まで出回りますが、露地物では5~6月頃が旬です。野菜として売られているおかひじきは、やわらかい若い茎葉を摘んだもので、自生しているものは時期をはずすとかたくなります。
シャキシャキの歯触りを活かして
手早く茹でて、胡麻和え等に
山形県では、辛子和えなどがメジャーな使い方のようですが、サラダや和えもの、酢のもの、汁の実の他、かき揚げ等に入れてもよいでし、パスタやそば等に入れるのも私はおいしいと思います。
油揚げや豚肉、マヨネーズなど、少し油脂を使うと、青い野菜が苦手な男性や子どもも食べやすくなりますし、β-カロテンやビタミンKなどの脂溶性ビタミンの吸収がよくなります。
参考/
・五訂増補 食品成分表
・山形県ホームページ
・KNUダイエット・「四群点数法」d プロジェクト事務局 (女子栄養大学 基礎栄養学研究室)
・野菜図鑑「伝統野菜」(独立行政法人 農畜産業振興機構)
・薬になる植物図鑑(柏書房)
・四季の摘み菜12ヵ月(山と渓谷社)
その他