一読の価値あり「その日のまえに」
余命を宣告された主婦と夫、子供の「その日のまえ」「その日」「その日のあと」が淡々と描かれています。その前の4つの短編もそれぞれの「その日」を感じさせるものです。私は約2ヵ月の病院生活から退院した頃、この小説を読みました。「その日」を迎えるのが自分のことのように思え、ただただ号泣で読んでました。
残される子供はどうなるのだろう? まだまだ成長を見ていたいのに。どんな素敵な大人になるのかしら。まだまだ伝えたいことがいっぱいあるのに。子供にも夫にも、私の笑顔を残せるように、いっぱい思い出を作りたいのに……。
昨日、読み返して見ました。子供も成人し、私も元気に生活している今は冷静に客観的に読めますが、それでも涙腺が緩んでしまうことに変わりありません。感じ方は読者の年齢、立場によって様々だとは思いますが、絶対、一読の価値ありです。
そして思うのは「その日」は予告なく突然やってくるかもしれないのです。今日が「その日のまえ」かもしれないのです。あらためて悔いのない日々を送らなくては、と思います。
今朝、主人に「いってらっしゃい」をいいながら、思わずハイタッチをしてしまったのは、「今日も一日元気でね。いつもありがとう。」の気持ちがこもっていたのかもしれません。