糖尿病/糖尿病の経口薬・インスリン

薬の飲み忘れを防ぐ、アイデアのいろいろ

年とともに処方薬は必ず増えます。糖尿病なら経口血糖降下薬から始まって、高血圧薬や脂質異常症薬はまず定番です。それに合併症や別の持病が加わって、さらに高齢の物忘れが追い打ちをかけます。

執筆者:河合 勝幸

お薬カレンダー

処方薬を薬局でこのように分包してもらって、お薬カレンダーを作るのはとても便利ですが、血糖降下薬は種類によって服用のタイミングが大きく異なります。あとひと工夫ほしいところです。

年とともに処方薬は必ず増えます。糖尿病なら経口血糖降下薬から始まって、高血圧薬や脂質異常症薬はまず定番です。それに合併症や別の持病が加わって、さらに高齢の物忘れが追い打ちをかけますから、医師の指示どおりに服薬するのはなかなか大変なことになってきます。

特に血糖降下薬は食欲がなくて食事をパスしているのに処方どおりに飲み続ければ、ふらついて転倒したり、意識を失うような低血糖を起こしかねません。一人住まいの糖尿病のある高齢者は心配ですね。

そこで、注意したいことを次のような7項目にまとめてみました。

1. 薬をよく理解する

医師や薬剤師に、これは何のための薬なのか、いつ服用するのか、どのタイミングがベストか(食前30分か、必ず食直前か、食後か、朝か夜かetc)などを質問して、十分に納得して記帳しておくように。食事をパスした時は飲んではいけない薬があります。また、空腹時に飲めば胃を荒らす薬もあります。

薬を処方どおりに飲めるように医師の指示のもとに薬局で薬を一回分に分けてまとめて包んでくれる分包(有料ですが健保が適用されます)は高齢者にとても便利ですが、慣れてしまうと中身に注意が向きません。特に低血糖のリスクがある経口血糖降下薬には注意してください。

2. 薬の種類を整理して、出来るだけシンプルに

あっちこっちの病院で何かを訴えれば必ず薬が処方されます。初めて受診する時は服用している薬を全部持参すること。そして、薬はなるべく増やさないようにしましょう。

日本では2種類の薬を1錠に配合した配合薬は、糖尿病薬ではメタクト配合錠(ピオグリタゾンとメトホルミン)ぐらいしかありませんが、米国ではクラスの違う糖尿病経口薬を配合したものが多くあります。こうすることによって薬の種類が減り、錠数も少なくなって飲み忘れが軽減することが期待できます。なによりも経済的ですよ。患者からも薬をシンプルにしたい希望を伝えましょう。

3. 服薬を日常の決まりきった習慣に合わせる

毎日同じ時間に行う行動に合わせて薬を飲むように習慣づけます。朝の洗顔のときに、食事ごとに、就寝時になどなど、こんなことは誰でもやっているでしょうが、2型糖尿病はだんだん要求が厳しくなって、いずれ心底うんざりする時がきますから、習慣が身についていれば大成功です。

4. 記録をつける

糖尿病日誌(logbook)に記入、あるいはコンピュータの服薬スケジュールに記録してミスを防ぎます。また、利用する調剤薬局も決めておきましょう。薬の履歴が記録されています。

5. 一週間ごとに分配して飲み忘れ防止

上記のように、一日分の薬を朝・昼・夕・就寝時に分包して、一週間のお薬カレンダーを作るのは医師を通して薬局に依頼できます(有料ですが保険適用)。

また、タイマー付きのピルボックスがありますし、一日分の薬を財布の中に入れて運べるような薄くて小さなピルボックスもあります。

6. 薬は見えるところに置いておく

朝食の前後に服用する薬を寝室に置いておけば忘れます。食卓の目の前に置いておきましょう。ただし、ペットや子どものいたずら防止のために、ロックが出来るピルボックスを使います。

7. 証拠を残しておく

空になった薬のパッケージは捨てないで、一日分を決まった容器に保管します。ピルボックスがあって、薬の空のパッケージがあれば、本人だけでなく家族のチェックも容易になります。

メモリーつきのインスリンペンがありますが、私は一日に使う注射針をまとめておいて、いつでも残りを確認できるようにしています。

また、使用済みの注射針(あるいはその小さな保護キャップ)をピルボックスに入れて目印とする人もいるようです。それほど頻繁に忘れるわけではありませんが、一度血糖値を上げてしまうと後がめんどうなのです。

さて、2010年の製薬レポート(米国)に、開発中の糖尿病関連薬が235種類もあるという報告が載りました。いささか当惑するような数字ですね。

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