きびしい時代だからこそ貯蓄体質を目指そう
~今年が年間貯蓄100万円実現のチャンス~
年間貯蓄100万円をいかに実現させるか。それを考える前に、日々家計管理に悩んでいる人にとっては、さらに頭の痛くなる話から始めましょう。それが増税です。今後増税が決定、または予定されている事項を書き出してみると……。2013年からは増税のオンパレード
ここで、まず着目したいのが、2013年1月からスタートする復興特別所得税。所得税の2.1%が上乗せされるのです。多くの人が年間数千円程度の増税になりますが、2038年まで継続されますから、トータルで見れば、決して小さな額ではありません。深野康彦さん ファイナンシャル・プランナー。テレビやあるじゃんでも活躍のカリスマ的FP。FP界きってのマネー商品情報通として人気。 撮影/清水京武
「ボディブローのように今後徐々に家計に効いてくるでしょうね。また、昨年から年少扶養控除と特定扶養親族分の控除の一部が廃止されました。これも実質増税ですから、家計には負担増になります。それと、今後注意したいのが物価の上昇。その最たる例が、最近の原油価格の高騰です」
原油価格の上昇が食費など全ての支出増に波及する
ガソリン価格の上昇は、単にマイカーによる移動が割高になるだけではありません。下の図で示したように、機械の燃料コストや輸送コストが上がり、その分、モノやサービスの値段に跳ね返ってきます。漁船の燃料が上がれば魚の値段が上がり、ビニールハウスを暖める燃料が上がれば、ハウス栽培の野菜の値段も上がるというわけです。さらにもうひとつ懸念材料があります。それは、日本のGDPがここ数年減退しているということ。「GDPはいわば国にとっての売り上げ。増えなければ、私たちの収入も増えません。名目GDPは昨年、約470兆円。直近の3年間で35兆円も減っています。国民一人当たりの取り分が減るのは当然。確かな成長戦略を打ち出すよう、国に期待するしかありません。ともあれ、増税で可処分所得が減り、食品などの値上がりで家計負担が増える。その一方で、収入は上がらない。現状のままでは、家計にとって今後ますますきびしい時代になると言わざるを得ません」(深野さん)
意気消沈な話題ばかりを取り上げましたが、実はここからが本番。このような状況でどう家計を防衛し、年間貯蓄100万円を実現すればいいのでしょうか。そのための大事な時期となるのが、今年、2012年だと深野さんは言います。
「増税に限っては、今年は給与所得1500万円を超える高額所得者(給与所得控除に245万円の上限が設定され、手取り額が減る)を除けば、ほぼないに等しい。つまり、貯蓄ペースを上げるなら今年がチャンスということです」
増税が実行されないうちに、家計をより貯蓄体質に変え、貯めグセをつけていく。そのことに、早速今日から取り組んでください。その結果、よりきびしい2013年以降も貯蓄ペースをキープするだけの力を備えることができるのです。
そこで次のページでは貯蓄ができる家計にする4つのポイントをご紹介します。
取材・文・撮影/清水京武 監修/深野康彦(ファイナンシャル・プランナー) イラスト/竹松勇二