世界に通用する人材の育成、レーシングスクール

鈴鹿サーキットが「WGP」「F1」などを開催し、世界との接点を深くもち、そこから学んだことは非常に多い。学びから生み出されたもののひとつが、独自のレーシングスクールの開校だ。鈴鹿サーキットは92年から2輪の「SRS-J(鈴鹿サーキットレーシングスクールジュニア)」、93年からカートの「SRS-K」、95年からフォーミュラの「SRS-F」を開校し、現在国内外で活躍するレーサーを育成し、輩出し続けている。
SRS

SRS-Fの卒業レースの模様 【写真提供:MOBILITYLAND】



こういったレーシングスクールはヨーロッパやアメリカではずっと昔から当たり前に存在したもので、それを参考にしたアイディアではあるが、開校当時は運転免許を取得できる16歳(2輪)、18歳(4輪)からレース参戦を始める人がほとんどで、3、4歳という幼少期からレースの世界に身を投じる選手が多い海外の環境とのギャップを埋めるという意味合いもあったと言える。
SRS

2輪のSRS-Jの卒業レース。現役トップ選手が講師を務めている。
【写真提供:MOBILITYLAND】



鈴鹿サーキットがトレンドセッターになり、現在はほとんどの選手が2輪で言えばポケバイ、ミニバイク、4輪で言えばキッズカートからレースを始め、レーシングスクールを経て、プロのレーサーとしての階段を上がって行くようになった。F1ドライバーにまで昇格した佐藤琢磨(SRS−F出身)、中嶋一貴(SRS-K出身)、鈴鹿8耐で4度の優勝を成し遂げた清成龍一(SRS-J出身)など多くの名選手を輩出したことも大きな功績だ。
清成

SRS-J出身の清成龍一。スーパーバイク世界選手権、英国スーパーバイク選手権の活躍でヨーロッパに根強いファンを持つ。鈴鹿8耐の優勝回数はワイン・ガードナーと並んで4回(歴代2位)。今年は宇川徹がもつ優勝5回の記録に並ぶべく、ロードレースアジア選手権を主体に闘い、鈴鹿8耐に挑戦する。
【写真提供:MOBILITYLAND】



世界との接点に様々な角度からトライ

世界選手権の開催、レーシングスクールの開催に留まらず、鈴鹿サーキットは長い歴史の中で、様々な世界レベルのレースとの接点を持ってきたことも忘れてはならない。
カート

鈴鹿サーキット国際南コースで開催されるカート世界選手権 
【写真提供:MOBILITYLAND】


1991年から始まったレーシングカートの国際レース「ワールドカップカートレース(2011年からはカート世界選手権)」もそのひとつだ。海外のワークスカートチームが参戦する国際レースの開催は日本のカートレースのレベルアップに貢献した。ジェンソン・バトン、フェルナンド・アロンソなど多くの現役F1ドライバーがこのレースに出場したという事実からも、カートの時代から日本のレーサーたちを世界レベルの競争に触れさせることの重要性を鈴鹿サーキットは理解しレースを開催していたといえよう。
アロンソ

鈴鹿の南コースを走ったレーシングカート時代のアロンソ 
【写真提供:MOBILITYLAND】



また、1996年、1997年にはアメリカの人気ストックカーレース「NASCAR」を招聘し、鈴鹿サーキットの東ショートコースでエキシビションレースを開催。興行的には成功には至らなかったが、日本とは無縁に近かったアメリカのレースを知るキッカケを生み出し、アメリカのモータースポーツが持つ、競争とエンターテイメントの融合という新しい観点を日本に伝えた意味は大きい。現在の国内モータースポーツ界はファンサービスを積極的に行うようになっているが、その原点のひとつが鈴鹿のNASCAR開催と言えるし、鈴鹿が行ったトライは決して無駄なものではなかったと言えよう。

現在の鈴鹿サーキットではF1、鈴鹿8耐、カート世界選手権の他に、秋にWTCC(世界ツーリングカー選手権)を開催している。

次のページでは鈴鹿サーキットの未来に向けたビジョンを紹介!