誰もが憧れるタワーマンション高層階での快適な暮らし。29階にある3LDKの住戸で広さは80平米。リビングの窓からは琵琶湖が一望でき、最寄りのJRの駅までは徒歩3分。

タワーマンションから築50年の一戸建てに!

住まいの形としては「あがり」に近いと思うのですが、この本に書かれている井上さんご夫婦は違いました。この「快適な住まい」から、なんと築50年の一軒家に引っ越します。町工場の敷地内にあるこの家は職場を兼ねており、実質的な居住スペースは和室六畳と八畳の二間のみ!凄まじい変わりっぷり。キッカケは、借金に追われた、といったわけではありません。

井上さんご夫婦の「住み直す」キッカケは二つ。ひとつは「家族のつながりを大事にするため」。もう一つは「自分たちの仕事と生き方をと整えなおすため」。

この行動力は素晴らしいと思います。引越をするのには多大なパワーが必要です。引越代等の金銭的な事もありますが、住まい探しから諸手続き等の時間もかなり必要ですし、生活パターンが変わることによるストレスだってあります。ましてや夫婦二人だけでなく80歳を超えた家族と一緒の引越となると、家族にかかる負荷は相当なものです。

引越が完了し、生活が落ち着くまでには約1年かかっています。さらに肩の力が抜けた生活となる為には「2年の歳月が必要だった」そうです。詳しい内容は本書に譲りますが、引越前後に井上さんが行った生活上の様々な工夫は、なかなかユニークです。

整理整頓は工夫で楽しく!

モノを整理する為の「リメイク」「リユース」そして処分前の「紙に残す」なんていうのはすぐにでも出来そうな工夫です。全てを処分・整理するのではなく「椅子と照明」だけはほぼ全てを残したというのもポイント。処分する事を、ネガティブに捉えるのではなく前向きに、また無理をせず行っています。

雑誌、空き箱、テーブルクロス等々のリユース。「紙袋にペンキラベル」の収納、「誰にでもわかるサイン」の統一。台所と押入の収納はイラストで説明が入ります。

そんな中、印象に残ったのが「空の記憶」。リビングから大きく見える東の空を、引っ越すと決めてから毎朝写真に残したそうです。引っ越してしまえば、中にあったモノしか残せないと思いきや、こんな方法があったんですね~。

いろんな事を経験し「住み直す」ことができた井上さん、最後にこんな言葉を書いてくれています。

「ものと心の整理は、シンプルに引き算を。でも、工夫と人とのつながりは。うんと温かな足し算がいい。」

家にモノがあふれて困っている人、生活のリセットをしたい人、思い切って好きな場所に引っ越したいが踏ん切りの付かない人におすすめの一冊。

 



※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。