男の子育て/子どもの教育・受験

中学受験、公立中高一貫校受検という選択(2ページ目)

「私立受験という選択」と「地元の中学に通う」という選択の間にできた第三の選択が、「受検公立中高一貫校受検という選択」です。

執筆者:おおた としまさ

塾での対策組が圧倒的シェアを占める

勉強する子ども

塾に通い、公立中高一貫校対策をするケースがほとんど

実際、数年前までは「公立中高一貫校対策は、塾ではできない」といわれていました。だからこそ、塾に通わない子どもたちにも十分にチャンスがあると考えられていたのです。しかし、ここにきて、少なくとも首都圏においては、少し雲行きが変わってきました。

今年中学受験進学塾大手のSAPIX(サピックス)は、2年連続で開成での合格者200名超えを達成したと同時に、公立中高一貫校の合格者数もこの数年着実に伸ばしています。サピックスには公立中高一貫校対策のコースはありません。しかし、この結果。受験業界では、「単純に私立との併願者が増えたのではないか。サピックスが公立中高一貫校の合格者を伸ばしているのは、私立受験のための勉強で一定以上の力をつけた子なら、公立中高一貫校の受検にも対応可能であることの証明」と分析されています。

そのほか、「公立中高一貫校対策は可能である」とうたう塾では、30%以上の合格率をはじき出しているところが複数あります。公立中高一貫校の平均的な倍率を約7倍とすると、合格率は14.3%ということになりますから、塾で対策をすることで、合格の可能性は倍以上になるのです。多摩地区を中心に教室を展開する進学塾enaは、公立中高一貫校対策をウリにする塾です。多摩地区にある南多摩、立川国際、三鷹、武蔵の4校の合計定員570名のうち、今年、enaからの合格者は313名。なんと約55%がenaで対策をした子どもたちなのです。

塾に通っている子どものほうが有利であることはもはや認めざるを得ない事実でしょう。

塾に通わないなら、親の力量が重要

父親と勉強する子ども

家庭でのバックアップは父親の出番

たしかに「塾に行かずに公立中高一貫校に合格した」という人もいます。しかし、詳しく話しを聞いてみると、塾には通っていないものの、並々ならぬ親のバックアップがあったことがわかります。読解練習のために、良質な新聞記事の切り抜きをファイルしたり、それを題材に作文を書かせ、それを添削したり、日頃から身の回りのさまざまな問題について論理的に議論する機会を設けたり……。特にお父さんの活躍が目立ちます。子どもにかける時間やエネルギーの大きさたるや、今流行のイクメンの比ではありません。

また、これらの武勇伝はすでに数年前の過去のものである場合も多いので、注意してください。

今年、公立中高一貫校から多数の東大合格者が出れば、来年度中学入試ではさらに私立との併願者が増えることが予測されます。今後、みっちり塾で学力を付けた私立との併願者が増えれば、倍率の変化以上に、実質的な競争は激化するでしょう。

それも踏まえた上で、「塾に通わずにやれる」覚悟が親子にあるのなら、塾に通わずに公立中高一貫校対策をするという選択もありでしょう。もちろん受験しないという選択もあります。


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