声帯機能不全(vocal cord dysfunction)とは

声帯機能不全

ノドの声を出す部分である声帯の開きが悪くなり、ゼイゼイという呼吸になります。

ノドの奥には、声帯と言って、声を出す部分があります。声帯は開いたり、閉じたりと運動を行います。特に、空気が通っている時には声帯は開き、声を出す時には閉じています。

この声帯の機能が働かなくなることを、声帯機能不全と言います。

声帯機能不全は空気が通っている時に、声帯が一部閉じてしまい、狭い所を空気が通るために、笛のような音、ゼイゼイ、ヒューヒューという音が出ます。そのため音が似ていることから、気管支喘息と間違われますが、喘息と違って、息苦しさや痰が出たりすることが少ないです。

症状は似ていますが、声帯機能不全は気管支喘息とは違う病気ですので、気管支喘息の治療を行っても効果はありません。

声帯機能不全の症状

声帯機能不全の症状は、
  • ゼイゼイ、ヒューヒューと言った喘鳴
  • 喉が詰まったり、締めつめられるような感じ
  • 胸が苦しい、呼吸がしにくい感じ
  • 声がかれる嗄声
  • 喉がゴロゴロとなった感じ
などの症状があり、気管支喘息と症状が非常に似ています。そのため、喘息として治療を受けてしまうことがありますので、ぜひともこのような病気があることを知っておきましょう。

声帯機能不全の原因

はっきりとした原因は不明です。声帯の機能に関わっている迷走神経という自律神経の変調という説があります。自律神経には、交感神経と副交感神経があります。迷走神経は、副交感神経です。運動時には交感神経優位になります。安静時には副交感神経優位になります。

自律神経の変調の原因として、ストレス、胃酸が食道に逆流する胃食道逆流症、副鼻腔炎、鼻水がのどに落ちてくる後鼻漏、激しい運動が関与していると言われています。

さらに気道への影響として、刺激性のあるガス、冷たい空気、タバコ、風邪などの感染症、大気汚染などが原因になっています。

声帯機能不全は、首周りや上半身の筋肉が緊張すると起こりやすくなります。その意味では、運動している時に症状が出てきます。

30歳前後の女性に多いですが、30%は18歳までに見られますので、子供でもあります。

声帯機能不全の検査

症状のある時に、喉頭内視鏡(喉頭ファイバースコープ)によって、声帯の部分を直接見ることで、診断可能です。同じような症状を起こす声帯ポリープと違って、声帯自身には特に異常はありません。声帯の動きが悪さが見られます。

呼吸機能検査にて、1秒間に息を吐くときの量をパーセントで示すFEV1.0%では、喘息とは異なり正常を示します。

気道が過敏であることもありません。気管支拡張薬を吸入させて、呼吸機能が改善した場合は気管支喘息と判断できますが、改善しない場合は気管支喘息の可能性が低く、声帯機能不全の可能性が考えられます。

血液検査では、声帯機能不全を診断することは難しいです。気管支喘息で陽性になるようなダニや家のホコリ、ペットのフケなどに対する特異的IgEは陰性です。

声帯機能不全の治療

気管支喘息の治療である気管支拡張薬、吸入ステロイド、ステロイドの内服は効果がありません。逆に言えば、気管支喘息の治療を施行してもゼイゼイ、ヒューヒューが良くならない場合は、この声帯機能不全が疑われます。その時に、耳鼻咽喉科で喉頭内視鏡(喉頭ファイバースコープ)をしておきたいものです。

声帯機能不全に対しては、特に、治療を要しない事が多いです。

声帯の状態を整えるスピーチセラピーを行い、声帯をリラックスさせます。お腹を使ってゆっくり息をする腹式呼吸を行います。原因として自律神経の変調がありますので、心理面でのサポートが必要です。

首や上半身の筋肉の緊張を取ることも大切です。運動時に多いので、運動時に発症すれば、安静にする必要があります。


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