水子とは
子供の守護仏として一般に知られているお地蔵様。サンスクリット語ではクシティ・ガルバ。意味はクシティ「大地」ガルバ「胎内」「子宮」だそう。
そもそも「水子」とは、本来は戒名の下につける居士、大姉、信士、信女などと同じ位号のひとつをいい、戒名の場合は「すいじ」と読みます。厳密には死産した胎児に対して付けられる位号とされているようですが、生まれてまもなくして亡くなった乳児に対してつけられるケースも多く、実際に昔はほとんどが出生後に亡くなった幼児につけられていたようです。
第二次世界大戦後、乳幼児死亡率が低下し、混乱期に乗じて中絶件数が増加したのを背景に、「水子」の意味は乳幼児中心から胎児中心に変化していきます。さらに、満11週以前の初期中絶の割合が増加し、中絶にまつわる否定的な印象が世間に浸透。ブームのきっかけとなったのは、1971年に埼玉県秩父郡小鹿町の紫雲山地蔵寺が1万体の水子地蔵を販売したことから。以来、「水子供養」「水子地蔵」といった供養の方法が創造され、多くのメディアで水子供養の特集が組まれ、根拠薄弱な通俗書が多数発売されました。
水子供養の方法は先祖供養と同じ
水子の供養といっても特別なことは何もなく、基本的な方法は先祖供養と同じです。ただ、大きく異なるのは「訳あり」流産で、あまり人に知られたくないという事情を抱えている人が多い点でしょう。「訳あり」の場合、できるだけ自分の素性は明らかにしたくないと思うのは当然ですし、ましてや今後も継続的にかかわりのある菩提寺にお願いするのは気が引けるもの。もし「個別」にこだわらないようであれば、近隣の寺院で行われる地蔵講や法話会などの行事に足を運び、仏様の前で手を合わせるだけでも供養になるはずです。水子供養を積極的にPRしている寺院や業者に相談するのも良いですが、精神的ストレスに漬け込み、祟りの発想などから水子供養にまつわる新規参入の霊感商法的ビジネスも横行しているので注意が必要です。