卒業式は母にとっても卒業式
涙、涙の卒園式
拝復 カワサキ様
春光うららかと言われる時季ながらミョ~に冷え込む東京より、腹巻装着のままお返事申し上げます。花の蕾も膨らむっていうよりかは鼻の詰まりが塞ぎっ放しという……倫敦には花粉症は無いんでしょうねぇ……杉林とか無さそうだもの……。あぁ、しとどに垂れるハナミズ、消える嗅覚。ツラい毎日です。
今月のお題「卒業式と謝恩会」。母になって未だ10年経たぬ若輩者の私にはまだ長女幼稚園のみの経験でありますが、それもまた無臭の世界だったことは説明するに及びますまい。
そう……遡るだに、あれももう3年前になるのですね。当時、長女を幼稚園と14時以降17時までの保育園とのダブル保育に預けて仕事を乗り切っていた私ですが、幼稚園ママ界では何の商売をしているのか良く分からぬ怪しげな人でママランチなどにもほとんど参加せず。加えて下の子が小さかったことから役員関係はすべからくヌルーしていたがため、卒園式にも謝恩会にも、息を潜めるようにしてヒッソリ参加していたものです。
ヒッソリ……ええ、それゆえの、痛手でした。なんと、ハレの卒園式に着せた娘の服が、園よりの通達の“行間”を読まずに選んでしまったもの……「華美でない、平服に近いもの」……しかし「娘以外のお友だち」は全員『小学校の入学式に着て行く予定の衣装』着用だったってことです。
聞いてないよ!!! それ聞いてないから!!!
とにかく幼稚園に着いた瞬間に娘の表情がサッと音を立てて変わったのです。母はその日、自分のヘアスタイルが失敗して殆ど「葉加瀬太郎」だったことに気を取られていたのですが、それどころじゃ~無かった。
娘はドングリ組だったので、幼稚園生活最後のこの日、ドングリ組たるアイデンティティをその衣装にぶつけていました。茶のタートルネックに合わせた茶のジャンパースカートはフレンチテイストなAラインでチェックの可愛いブランドのもの。ツインテールに結んだヘアアクセのチャームも勿論ドングリでキメています。かく全身で「ドングリらしさ」を表現した渾身のコーディネートだったのですよ。「ラブ、ドングリ!」
でも、ドングリ色の美意識も、入学モードのピンキッシュなキラキラスーツの前には床のタイル同然。娘には、本当に可哀想なことをしました。
当地カワサキさんの生息エリアからするとかなり地味、幼稚園も幅広いテイストのご家庭が在籍している懐深い老舗(?)園だったので、私のような変ママも森のキノコのように紛れ込めるかな?との期待を持って入園させたわけですが、最初から最後までうまく馴染めなかった……(主に母が)と今でも残念な思い出でいっぱいだったりします。
「ママ友」も殆ど残っておらず……マイミクに1人かな……しかも隣のクラスだったりして……。謝恩会は母達の人間関係の終焉、まさにその通りでしたね。
幼稚園にしても、小学校にしても、「そこ」に通い、生活する本人は母ではなく子なのです。なのに、何故に母がこんなにまで「そこ」にコミットせねばならんのか?という点で、次子を2歳で保育園に入れ、その自由(殆ど親は拘束されない!)を知ってしまった身としてはヤハリ疑念を呈せざるを得ない私なのです。なんでやねん。なんでそんなに母さんがんばっちゃわないといかんねん? ウギャー!
そういう意味で、子の「卒業式」は子以上に、母にとっても「こ(子)の支配からの卒業」だったりするし、だったんだろうなー。と。あぁ、小学校の卒業式も今から心配☆です!(3年後だけど)
草々
フジワラ拝
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