■積水ハウス 「耐震」のポイント
- ユニバーサルフレーム・システム(軽量鉄骨造)
- 制震システム「シーカス」
- βシステム(重量鉄骨造)
地震の力を熱に換え建物の変形を抑える「シーカス」
鉄骨系住宅の軽量鉄骨造は2階建てが中心で、「ユニバーサルフレーム・システム」と呼ばれる構造が採用されます。これはいわば木造軸組の鉄骨バージョン。柱や梁のほか、ブレース(筋交い)も鉄でできています。鉄骨の強みは品質が安定していて、構造の計算がしやすいこと。地震の揺れもしなやかに受け止めます。また、木造軸組は設計度の自由が高いことで知られていますが、構造生産の限界はあるものの、それを可能な限り再現しているわけです。
積水ハウスを代表する地震対策である制震システム「シーカス」は、この軽量鉄骨造に採用されるものです。地震の振動エネルギーを熱に換えるのが特徴。建物の変形を2分の1に抑えることができ、繰り返し起こる大地震にも効果を発揮できる点もポイントです。これは近年、標準採用されるようになってきました。
2013年10月からは「シーカス」を取り付けたフレームを、同位置に重ねて配置する「ハイブリッドシーカス」を新たに開発・導入。これにより耐震性・制震性の強化や、設計自由度をさらに高まり、大開口・大空間による「スローリビング」がさらに実現しやすくなりました。
重量鉄骨造は3~4階建てに対応します。「β(ベータ)システム」という、高層ビルなどに用いられる重量鉄骨ラーメン構造を採用していますが、建物の高さが高くなる分、構造躯体の強度を高めなければなりません。二重の防錆処理を施した大型鋼、さらに柱と梁を緊結する特殊なボルト、それを支える大型基礎により、過去の大地震にも耐えられる耐震性能を実現しているといいます。
このおかげで、通し柱(1階から4階まで1本で連続する柱)を不要としないため、設計の自由度が高いのも特徴の一つ。狭小の敷地を有効に活用するケースや、大空間、大開口も可能となります。例えば、コーナーに柱を設置しないプランなら、2方向に視界が解放されるコーナー窓にすることもできます。
商品としては「ベレオ・プラス」が2014年に発売されており、これは自宅と賃貸住宅・店舗・事務所などの併用といった高度な土地活用を目的としたもの。マンションのようなグレードの高さを実現しています。
独自の集成材と金物を採用する木造住宅「シャーウッド」
最後に、木造住宅「シャーウッド」の構造と耐震性を見てみましょう。使用される構造部材はいわゆる集成材。ただし、十分に乾燥された木材を一定の強度を確保できるように貼り合わせた木材を使用しています。無垢材の場合、乾燥の過程でひび割れたりする関係上、品質が一定になりづらいのですが、シャーウッドでは厳選された木材から加工された専用の集成材を用いるのです。通常の木材、集成材を使うハウスメーカーでは、外部に製造加工を委託するのですが、これを自社工場で生産で生産しています。
柱や梁の接合にも特徴があります。いわゆる金物工法なのですが、まず木材をできるだけ削り取らないような加工をし、金物を装着します。これにより木材の強度を確保。次に金物と金物で柱や梁を組み合わせる際、容易かつ緊結できる手法を取り入れています。
また柱と基礎の間には土台部分がありません。基礎に直接金物が仕込まれ、柱材を組み合わせる仕組み。一般的な木造軸組工法より強度のばらつきがなく、これらによって高い耐震性を確保しているのです。
また、2014年には新たな構造として「ハイブリッドS-MJ」を導入。これは合板の二重貼りや高耐力接合金物の採用などにより、一般的な木造軸組工法の4倍の強度を確保した耐力壁を用いたもの。大開口の実現といった設計の自由度を高めています。さらに構造強度も高まったことで3階建てへの対応もよりしやすくなりました。
なお、軽量鉄骨造とシャーウッドについては免震装置を取り付けて、さらに地震対策を強化することも可能です。このほか、大地震発生後も最低限の暮らしを確保できる「住宅防災仕様」も、業界に先駆けて取り入れていたのが積水ハウスです。
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