若い人は「移動」をしてチャンスをつかもう
新興国の経済力が高まり、人の移動が活発になっています。LCC(ローコストキャリア)も増えており、海外への移動のハードルも低くなりました。たとえば香港や上海、シンガポールに行くと、仕事を求めてアジア全土から人が集まっている。ニューヨークやロサンゼルスに行くと、成功を求めて世界から人が集まっています。
それは、危険な場所から安全な場所へ、不便な場所から便利で快適な場所へ、儲からない場所から儲かる場所へ、チャンスのない場所からチャンスのある場所へ、という移動です。つまり移動というのは、「何かを成し遂げたい意思」であると言い換えることができます。
一方、テレビでは、原発近くで生きる人たちの姿が放映されていました。学校でも体育の授業は室内にしたり、子供が放射能被害に遭わないように、という配慮をしているそうです。保険代理業を営んでいる私の友人からは、南東北エリアでは生命保険やがん保険の加入件数が増えている、という話を聞きました。
そんなことを見聞きして感じたのは、危険を察知しているなら、なぜそのエリアから離れないのだろうか。家族の命や健康よりも守りたいものが、その土地にあるのだろうか、ということです。
もし持ち家があるから、仕事があるから、という理由で、離れたくても離れられないのだとしたら、これはとてもリスクが高い選択ではないでしょうか。もちろん、個々人に事情はあり、東京に住んでいる私が勝手に感じているだけなのですが、私たちには本来、移動する自由があります。
リスク回避の意味合いだけではありません。たとえば韓流スターは日本でデビューするチャンスをつかむため、必死で日本語を勉強しているそうです。日本の音楽界のほうが、稼げるからというのがその理由です。
イチローや松井秀喜も大リーグに移りチャンスを手にしました。デヴィット・ベッカムは、イギリス、イタリア、アメリカのチームを渡り歩き、再びイギリスに戻ろうとしていますが、これも高額年俸のためでしょう。
私の友人でも、アメリカやオーストラリアだけではなく、アフリカ、ベトナム、スリランカなどの渡って活躍している人がいます。その気になれば、世界のどこへだって行ける。しかし様々な理由をつけて、そこに留まるしかない人もいる。これからは、移動の自由を手に入れた人と、特定の場所から身動きできない人との格差が開くのではないでしょうか。
若い人は日本というひとつのカゴの中にいてはいけない
投資アドバイザーやファイナンシャルプランナーの多くは、「お金はひとつのカゴに盛るな」、と言って分散投資を推奨しています。私もおおむね賛成です。しかし、収入源が一カ所、居住地が一カ所、資産のありかも一カ所、というのが私たちの現状です。収入源が一カ所であれば、もしその蛇口がきゅっと締まったら、私たちの生活もきゅっと締まってしまいます。居住地が一カ所であれば、前述のように、そこが最適ではないと気づいたときに身動きができなくなる恐れがあります。
資産のありかも同じです。仮に外国株ETFや外貨預金などをしていても、日本の金融機関を通じて買っているので、結局は日本という一ヵ所にあるのと同じです。
私たちは、「日本というひとつのカゴ」に盛られて生きているわけです。
もちろん、国が成長し、安定しているうちはそれでもよかった。
しかしそうでないことが予想されるなら、これからは、都道府県の境を誰も意識することがないように、国と国の境も取っ払って自分の活動範囲を大きく捉える必要があります。