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大和ハウス(2) 入魂の都市型狭小地向け3階建て

都市型の狭小3階建ては、住まいづくりの中でも大変難しい分野です。狭い空間を有効に生かしながら、快適性も満たさなければいけないからです。大和ハウス工業の新商品から、その手法について考えてみます。

田中 直輝

執筆者:田中 直輝

ハウスメーカー選びガイド

現在、「都市型住宅」シリーズで記事を書いていますが、今回は別枠で。大和ハウス工業が都市型3階建て住宅の新商品として「xevo03(ジーヴォ・ゼロサン)」を発売しました(販売開始は2012年2月3日)。この商品はハウスメーカーの特徴や姿勢、住まいづくりの考え方がよくわかる商品なので、今回クローズアップしてみます。

xevo03

大和ハウスが新商品「xevo03」で建てた実棟モデル。現場周辺は3階建て住宅が建ち並ぶエリアで、このような場所では従来、プレハブハウスメーカーの建物は少なかったが、近年施工例が増えてきている(クリックすると拡大します)

皆さんの中には、「ハウスメーカーってどこも同じような建物を建てているのでは?」と思っている方がいらっしゃると思います。しかしそうではないのです。一言でハウスメーカーといっても、その特徴は様々なのです。

大和ハウスは、ハウスメーカーの中でも老舗企業ですが、これまで住まいづくりの強みは2階建て住宅にあり、中でも街づくりを含めた分譲住宅にありました。その一方で、都市部の住宅密集地のようなエリアでは、実績はあまり多い方ではありませんでした。

つまり、大和ハウスは都市型3階建て、中でも狭小住宅の分野ではあまり強みがなかったということです。ハウスメーカーっていうと住まいづくりのオールラウンダーというイメージがあるかもしれませんが、それぞれ得意な分野とそうではない分野があるのです。

外張り断熱など「xevo」シリーズの良さを踏襲

中には大和ハウスとは逆に、都市型住宅に強いハウスメーカーもありますし、郊外の大規模宅地開発にはほとんどタッチしていない企業だってあるのです。そうした個別の企業の特徴を知ることは、ハウスメーカーに場合に限らず、依頼先の決定や良い住まいづくりを行う上でに欠かせない要素となります。

リビング

2階のリビングの様子。ソファーの背後にある収納スペースが、「xevo03」の構造上の特徴で生まれた「ゆとり」を反映させたものだという。狭小建物では収納の確保に無理が生まれるケースが多いため、こうしたゆとりは貴重といえる(クリックすると拡大します)

大和ハウスの場合、都市型住宅の強化は積年の課題でした。というのも、元々都市型狭小住宅の世界は敷地対応力が高い木造軸組工法、つまり地域の工務店や建築家が主役でした。工場で部材を生産する大和ハウスのようなプレハブ工法のハウスメーカーは、そうした地域で活躍が難しかったのです。

ただ、プレハブ系メーカーでも工法の工夫や提案力を強化して実力をつけ、現在では多くの建物を手がけています。大和ハウスの場合は、そうしたハウスメーカーの動きとは別の思惑、従来から強みがあった2階建てに力を入れていたというのがこれまでの動きです。

とはいえ、私はこの会社を15年ほど見てきましたが、都市型住宅分野の強化はずっといわれてきたこと。「xevo03」はその課題を克服するための本気度がうかがえる入魂の商品となりそうです。その点もあり今回ご紹介するのです。

大きな特徴は、大和ハウスの2階建て「xevo」シリーズを踏襲していること。具体的には外張り断熱通気外壁工法による温熱環境の優秀さと、耐震性など躯体強度の高さにあります。一般的に都市型狭小住宅には重量鉄骨造が採用されるのですが、「xevo03」では軽量鉄骨造の2階建ての構造の強化で対応しています。

先日、私はその実際の建物を見学してきました。一定期間モデルハウスとして使われた後、分譲住宅として販売される建物です。実際に住むことを想定した実需サイズです。次のページで、その建物を紹介しながら、「xevo03」について見てみましょう。
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