モータースポーツ/世界のモータースポーツ/イベント

インディ500に学ぶ、100年続くモータースポーツ文化(3ページ目)

世界3大レースのひとつ「インディ500」の魅力をたっぷりとご紹介。ガイドが自ら体験した観戦記と共に、モータースポーツが100年愛され続ける理由も分析し、紹介します。

辻野 ヒロシ

執筆者:辻野 ヒロシ

モータースポーツガイド

金曜日は巨大な同窓会!

「インディ500」の盛り上がりは決勝レース日だけではない。5月のインディアナポリスは「Month of May」と呼ばれ、練習走行、予選などを1ヶ月間に渡って行うのが通例で、決勝レース日に向けて、インディアナポリスの街は長い期間をかけて、徐々に盛り上がっていく。(ここ数年は2週間のスケジュールで行われている)

ようやく決勝レースのウィークエンドになって盛り上がるのが、「カーブデー(Carb Day)」と呼ばれる金曜日のイベントだ。「インディ500」はグリッドが1週間前の予選で決定し、それ以降、決勝レースまでに走れるのは「カーブデー」の金曜日の1時間のみ。その僅か1時間のインディカー練習走行のイベントにスポンサーが付き、平日であるにも関わらず多くの観客が来場する。
第1ターン

インディアナポリスモータースポードウェイの第1ターン席の様子。観客は午前中の1時間のインディカー練習走行を静かに楽しみ、その後はビールをガンガン飲んで、前座レースとして開催される「インディライツ」の決勝を観戦し、酔いがまわったところで、ピット作業のタイムを競うイベント「ピットストップコンテスト」に熱狂する。コンテストが行われている最中のスタンドはプロレスのイベント会場のごとき、大騒ぎとなる。


STP

STPの文字がたくさんはいった服を着たファン。実はかつての「インディ500」名物チームオーナーの格好を真似たコスプレだ。


そして、ひとたびスタンドを離れてみると、ピットストップコンテストなどそっちのけで、ビール片手にずっと喋り続けている人たちがいる。友人がやってくると「久しぶり、会いたかったよ!」とハグし合い、立ったままクーラーボックスに入ったビールを受け取り、乾杯し、また次の友人が合流するまで語り合うのだ。その雰囲気はまさに同窓会で、毎年ここに集う仲間が徐々に集まり、決勝レースのある日曜日に向けて盛り上がっていくのである。
パゴダ

パゴダと呼ばれるコントロールタワーの裏で待ち合わせ、ビール片手に語り合う人々。ちなみにこの「Carb Day」のスポンサーはアメリカを代表するビール「ミラー・ライト」だ。このビール片手に語り合う同窓会的な雰囲気を見れば、ビール会社がスポンサーにつくのも納得できる。


また、夕方からは有名ロックミュージシャンによるコンサートが行われるが、この時間になれば入場フリーだ。オープンになった入場ゲートからは授業を終えて駆けつけたハイスクールの地元学生たちがドンドン入ってくる。少々肌寒くてもホットパンツ姿でやってくる女の子の集団も多く、まさに勝負モード全開な雰囲気さえ感じる!
パドック

パドックものんびり楽しめるのが金曜「Carb Day」の良い所。


「Carb Day」の入場料は20ドル(約1600円)と安く、とにかくビールを飲んで語り合ってくれ!という値段設定だ。もちろんクーラーボックス持ち込みOK。スーパーで買ってきたビール持ち込みOK。夕方からは入場無料という日本では考えられない姿勢なのだ。「インディ500」に集まる人たち、地元の人たちに気軽にお祭りを楽しんで欲しいというメッセージが伝わってくる。

次のページでは、街とつながる、社会とつながる「インディ500」の魅力をご紹介!

  • 前のページへ
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 7
  • 次のページへ

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます