つい先日、尊敬している50代の女性社長が言った。
「女の転機は、27歳で訪れるけれど、男の転機は、35歳。35歳から、男は考え方や生き方が保守的になって狭まる――その第一段階だと思う」
それは、「大きな声では言えないけれど、人生の中で出会ってきたさまざまな男性を見て実感したこと」なのだと話す。
<目次>
35歳が男性の転機?恋愛するのに向いている理由とは
たしかに、今、35歳前後の男性の友人・知人が多い私としても納得した。仕事でも恋愛でも、それまではあらゆる可能性にチャレンジしてきた豪傑なタイプの男性たちも、35歳くらいになると、それまでのテンションとは趣が変わっていく。
自分や人生にある可能性を諦めたわけではないのだろうけれど、何かしらの“よりどころ”を持ちたくなる趣が見受けられるのだ。
昨年、35歳になったAくんは、大手企業に勤めながらも、若いうちから売り上げ面で実績を上げて、同期の中ではトップ出世。しかも、彼がリーダーとなる新しい部門まで立ちあげてもらい、社内で数々のチャレンジを実践してきた。新境地においては、なかなか売上げという結果がついてこなかったものの、業界内での評判はすこぶるよく、社内外での彼の名を確固たるものにしたのだが――。
35歳になるのとほぼ同時に、「仕事上での新しいことはもういい!」と言いだした。「この不況の時代、新しいことをやり続けるのはエゴだ。もっと売上を大切にしたい」と、これまでの主義を一気に覆す発言をしていた。間違っているとは思わないけれど、一瞬、彼自身が萎れたように見えてしまったのは確かだ。
恋愛も落ち着いたものに
仕事の転機と同じくして、これまで、“高嶺の花”ばかり狙っていた恋愛も、いわゆる普通の彼女との等身大のものに落ちついた。彼女に結婚を暗に迫られ、「もう、さすがにしてもいいかな」と冷静に言いつつも、「もうひとつ、仕事で実績を上げないと」というところで揺れている。来る40歳と40代、その先の壮年期にむけて、公私ともに、“人生のまとめ”を見据えつつの選択に切り替えているのだと感じた。
理想を抱き続けた恋愛から、生活を共にできる女性に
現在、37歳のBくんは、それなりに人気も実力もそろっていた舞台役者。ルックスは今もスペシャルにカッコいいし、もっとも輝いていた時期はメジャーな舞台の3番手あたりを演じて注目を集めていたりもした。
けれど、35になった直後、大好きだった演劇の世界に見切りをつけて、小さな芸能プロダクションを立ち上げた。「周囲には、作品や役に恵まれれば、ブレイクできると言われていたけれど、キャリア15年、35歳の時点でそのチャンスがなかったのだから、転向しろというサインなんだと思う」と。
女子モテするだけでなく、老若男女に好かれるタイプの彼にとって、その人心掌握術(術というよりは、天性のものが大きい)と、これまでの人脈を活かしたプロダクションの社長業は向いていると思った。
ちなみに、Bくんは現在“結婚できる彼女”を募集中。それまでは、ひたすら理想が高いだけだったのに、ちゃんと生活を共にできる女性に目がむいているという。やはり、恋愛・結婚観でも転機を迎えている。
成熟による安定感を身に付けた男性が、結婚適齢期
ほかにも、35歳を機に、仕事と恋愛・結婚への考えをがらりと転換させた男性の例は枚挙にいとまがない。もちろん、保守派に転向することが萎れているなんて単純に言い切れないし、健やかな成熟による安定感を身に付けたともいえる。だから、良いのか悪いのかではなくて、そういう男こそが、結婚適齢期だと思うのだ。好みかどうかは別問題だけれど。
そういえば、ある時、仕事はできるのに、いつも恋愛に溺れている感じの30代の女性がこう語っていたことがある。
「生きるエネルギーと性的な魅力が過剰に輝いている男が好き。そういう男となら結婚したいと思うけれど、男ってキラキラしている時は、結婚したがらないでしょう? 自分もそうだから、わかるもん。キラキラしている時を縛られたくない。結婚って、ちょっと疲れて輝きが失せないとしないよね」
安定志向・結婚向きの男性の多くは20代で結婚する
ちょっぴり暴論かもしれないけれど、これまた納得してしまった。そもそもが安定志向で恋愛より結婚に向いている類のイイ男(少数)は、20代のうちに結婚している。経験の質とエネルギーは人それぞれだけど、現代大抵の男は、30超えても“仕事に恋にモラトリアム”を続けているから、なかなか結婚できない。でも、そんなモラトリアムな日々に疲れ、迷いを断ち切り、生き方を定めようとするのが、35歳頃なんだと思う。自分の生き方すら決まれば、結婚もできる――。
だから、35歳の男は、結婚したい女にとっては狙い目なのだ。自分の生き方を持ち、成熟を身につけつつも、まだ他人に合わせられる柔軟性もある。もちろん、35歳を超えても、ギラギラている人や、生き方が定まらない人、ただ萎れてしまう人もいる少なくないけれど、いつまでも変わらない人は、それはそれで問題があるものだ。
結婚したい女性は35歳前後の男性に焦点を定めるのがいいかも
ちなみに、40代以降も長らく1人でいる人は、男女限らず“自分”が強くなりすぎて、偏屈に確率も高い。個人的には、偏屈な男性も嫌いじゃないけれど、パートナーとしては大変なのは間違いない。昨年の国勢調査では、30代の結婚率は過去最低を記録。30代で結婚しなかった人は、40代も未婚だし、生涯未婚である率はすこぶる高まっている。この先は、ますます、“結婚しない選択”が一般化していくのは確実だと思う。だからこそ、どうしても結婚したい人は、“35歳”前後の男性に焦点を定めて、早期計画するのが手かもしれない。
【関連記事】