「第四章 フランス そして 第五章 生活と芸術」
最後のコーナーは終戦後、6年ぶりにフランスに帰ったペリアンを紹介しています。
日本で得た知識と経験を生かしたペリアンの活動、特に「日本」を紹介するショップやプロダクトは刺激的です。
建築模型やプロダクト展示の中でも、中央のテーブルと可愛らしいスツールは存在感があります。
これらは1956年、パリ、サン・ジェルマン通りにオープンされた「ギャルリー・ステフ・シモン」(ペリアンはこのギャラリーを代表する作家であると同時に商品選定やディスプレイに携わった)で扱われたペリアンデザインの家具です。
「ギャルリー・ステフ・シモン」のディスプレイ /1958年(引用:展覧会図録 p207 /鹿島出版会)
「存在感のある家具」には、思わず吸い寄せられてしまいますね。
詳細を見ると鋼管クロムメッキと鮮やかに色彩のモダニズムスタイルのペイアンの初期からは想像のできない世界が見えてきます。日本に触れ、日本文化のフィルターを通してクリエイトしたデザインですね。
異文化での経験を積み、歳を重ね、成熟したモノへの思考が「かたち」となって表現される。。。そして時空を超えて存在し続ける……デザインの醍醐味ですね。
日本人が持つ暮らしの“チエ”
さて、展覧会会場の2階から1階に降りるとピロティーではペリアンが携わった椅子を展示しています。これらの椅子はカッシーナ製の現行品。もちろん自由に座ったり触ったり出来るので濃厚な展覧会の休憩にはもってこいの空間となっています。最後に
仕事を通して家族にようにお付き合いした進来 廉のペリアンレポートの一節を紹介しよう。
『彼女は戦後3回来日した。そして1963年に私が帰国して以来、彼女と逢う度に「日本の住まいは一体どうしたの!?」と叱咤され続けた。その心は「日本の“独自性”が失せてしまったんじゃないの!」という意味で、この警句はわれわれすべてに当てはまる言葉である。(中略)従って「日本のすばらしい“チエ”を捨ててまで、なぜ外界(ソトマワリ)のことばかり気にしてウロチョロするの!?」と不思議がる彼女の姿が浮かび上がってくる。』
シャルロット・ペリアンと日本……日本人が持つ暮らしの“チエ”をあらためて再考することが必要性を痛感する展覧会ですね。
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今回の関連リンク
■ 「シャルロット・ペリアンと日本」展
今後の開催予定
広島市現代美術館 2012年1月21日(土)~3月11日(日)
目黒区美術館 2012年4月14日(土)~6月10日(日)
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