/犬の選び方・出会い方

子犬が欲しい人とブリーダーとをつなぐポータルサイト(2ページ目)

犬と暮らしたいと思った時、あなたはどこから子犬を手に入れますか? ブリーダーを探したいと思ってもなかなか見つけられないということもあるでしょう。昨今では、子犬が欲しいという人とブリーダーとをつなぐポータルサイトも登場しています。

大塚 良重

執筆者:大塚 良重

犬ガイド



子犬の入手方法に関する現状

睡眠は子犬にとって大事な“栄養”

子犬には感染症予防と社会化への配慮が必要。

環境省が2009年度に行ったアンケート調査によると、犬を購入したというケースは全体の57.1%、譲り受けたというケースは32.7%でした。犬を購入したケースのうち、どこから購入したか?という問いに対して、「ペットショップ(店舗販売)」が64%、「ブリーダーから直接」が28%、「インターネットなどの通信販売」が3%、「インターネットオークション」が2%、「その他」が4%という結果です。この結果を見る限り、日本では半数以上の人が犬を購入するものとし、購入する場合は圧倒的にペットショップが多いということになります。参考までに、環境省の統計資料では2010年4月1日現在で動物取扱業の登録をしているペット販売業者の総数は23,866件となっています。

ここで独立行政法人国民生活センターが公表している相談の件数やその傾向に関するデータを見てみると、2010年度におけるペット動物(主に購入)についての相談件数が1,376件、ペットサービス(ドッグサロンやペット保険など)については465件、ペット用品については544件となっています。購入に関する相談が含まれるペット動物の相談に着目すると、2006年度が1,524件、2007年度が1,626件、2008年度が1,440件、2009年度が1,573件。2006~2010年度までの平均は1,507件となります。ちなみに、2011年度は10月31日現在で713件。相談の内容としては、購入後わずかな期間のうちに病気になった、または死亡したが、治療費を販売元に請求できるか、返金してもらえなかった、補償してもらえなかった、というようなケースが目立つようです。同センターが2007年度に公表した「ペット購入時のトラブルの実態と問題点--安心してペットを“買う”ためには--」では、問題点の一つとして通信販売を挙げています。

そもそも、犬は生き物なのですからバッグやCDを買うのとはわけが違います。どの購入ルートであってもトラブルがまったくないわけではありませんが、特に通販やネットオークションでは子犬を実際に見ることなく買い求めるケースが多いためトラブルが目立つ傾向にあることは否めないでしょう。また、ペットショップであっても管理が行き届き、子犬の社会化などにも配慮しているショップならいざしらず、そうでない場合には注意が必要です。ペットショップの場合、売られている子犬がどこからやって来るのかというと、ブリーダーや輸入業者から入って来るルート、卸売業者から入って来るルート、オークションを経てやって来るルートが存在するのが日本の現状です。

子犬を親から引き離す月(日)齢問題

ここで問題になるのが、子犬が母犬から引き離され、売られていくまでの月(日)齢です。アメリカ(22の州)やイギリス、ドイツ、フランス、オーストラリアなどでは法律によって生後8週齢未満の子犬は母犬から引き離して販売してはならないとされています(アメリカの2州では生後7週齢未満)。これは子犬の病気感染予防はもちろん、必要最低限な社会化期間を確保するなどの目的があるわけですが、この点、日本ではどうなっているのでしょうか。

日本の場合は、本年度をめどに「動物の愛護および管理に関する法律」の改正を目指し、動物愛護管理のあり方検討小委員会が設けられ、議論が交わされてきましたが、その中の課題の一つとして子犬や子猫を親から引き離す時期についても取り上げられました。つまり、これまで日本の法律の中にはその月(日)齢についてはっきりとした数字が盛り込まれてはいなかったわけです。結果的に、ペット事業者団体が主張する生後45日齢、実験結果から導き出された生後7週(49日)齢、海外の事例にならった生後8週(56日)齢の3つに意見が分かれてしまいました。残念ですが、法律的に規制のできる数字を盛り込むまでにはもう暫く時間がかかるようです。

では、実際には子犬が生後どのくらいで母犬から引き離され、一般の飼い主さんの手元に渡っているのでしょうか。それは環境省が公表している資料「犬猫幼齢動物の販売日齢について」からおおよそ知ることができます。環境省が2009年度に行ったペットの繁殖・販売に携わる事業者を対象にしたアンケート調査によると、生産者(ブリーダーのことでしょう)から一般の飼い主さんに渡るルートでは生後50~55日齢が最も多く42%、ついで生後56~60日齢が15%となっています。小売業者(多くがペットショップでしょう)から一般の飼い主さんに渡るルートでは最も多いのが生後50~55日齢で46%、ついで生後45~49日齢で29%。生産業者から小売業者に渡るルートでは生後40~44日齢で52%、ついで生後45~49日齢が41%。卸売業者から小売業者に渡るルートでは生後50~55日齢が97%。オークション市場では生後40~44日齢が59%となっています。こう書くと生き物でありながら、まるで物のようですね。

ご存知のように子犬はまだ生まれたばかり、病気感染には注意が必要です。母犬の初乳を飲むことで母犬からの免疫抗体を譲り受け、暫くの間は伝染性の病気から体を守ることができるのですが(これを移行抗体と言います)、この移行抗体は生後6~8週齢くらいで徐々に低下していき、生後90~120日齢ほどで多くの場合完全に消滅してしまいます。移行抗体がまだたくさんある時にワクチンを接種しても無駄となり、完全に低下してからでは病気感染のリスクが高くなってしまいますので、その途中でワクチンを接種するのがよいということになります。ただし、ワクチンは移行抗体が20%より多く残っている時に接種をしても効果がなく、20%以下に下がってから接種するのがベストなのですが、そのタイミングを把握するのはなかなか難しいため複数回ワクチンを接種することになるのです。こういった事情からちょうど移行抗体が不安定になる時期に子犬がやり取りされる現状にあるということを私たちは知っておく必要があるでしょう。

次に、子犬が欲しい人とブリーダーとを結ぶポータルサイトをご紹介します。
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