筋ジストロフィーとは


筋ジストロフィー

気管切開で呼吸管理をしている筋ジストロフィーの患者 全身の筋肉が萎縮しているため電動車いすで移動を行っています


全身の筋肉萎縮とそれに伴う筋力低下を示す病気で、筋肉の生検(患部の一部を切り取って顕微鏡などで調べる検査)によりジストロフィー変化を認める遺伝疾患。1860年代にフランス人の医師デュシェンヌが報告した疾患・デュシェンヌ型筋ジストロフィーが大部分を占めます。1900年代にドイツ人医師ベッカーが報告したベッカー型筋ジストロフィーが2番目の頻度です。この2つの筋ジストロフィーはX染色体劣性の遺伝形式をとります。それ以外の様々な筋ジストロフィーがありますが頻度は大幅に低いです。
日本で報告された福山型筋ジストロフィーは生後数ヶ月以内に発病します。常染色体劣性の遺伝形式をとります。


筋ジストロフィーの頻度・性差・年齢

デュシェンヌ型筋ジストロフィーは男性にしか発症しません。男児3,500人に1人の割合で発症します。有病率は人口10万人あたり2人といわれています。乳幼児期の運動発達が遅れ、3歳ぐらいまでに異常に気付くことが多いです。歩行開始が遅くなり、その歩行の特徴も病的です。10歳ぐらいに歩行困難となり移動が不可能となります。以前は20歳ぐらいで呼吸不全、心不全などにより死亡していましたが、最近は様々な呼吸療法などにより平均寿命は延びています。

ベッカー型筋ジストロフィーも男性にしか発病しません。頻度はデュシェンヌ型筋ジストロフィーの1/3です。ベッカー型では10歳前後で発病し、進行も遅いです。20歳以降に歩行不可能となります。


筋ジストロフィーの原因

デュシェンヌ型筋ジストロフィーとベッカー型筋ジストロフィーはX染色体短腕(Xp 21.2)にあるジストロフィン遺伝子の異常が原因。そのため男性にしか発病しません。
筋ジストロフィーの約2/3の患者さんは両親の異常な遺伝子を受け継ぐことで発症します。残りの1/3の患者さんでは両親の遺伝子は正常で、突然変異により遺伝子の異常が発生し筋ジストロフィーを発病します。

デュシェンヌ型筋ジストロフィーとベッカー型筋ジストロフィーでは、女性が原因遺伝子の保有者となり、男の子が生まれると1/2の確率で発病します。女の子は1/2の確率で原因遺伝子の保有者となりますが、筋ジストロフィーは発病しません。
福山型筋ジストロフィーは第9染色体長腕(9q31)にあるフクチン遺伝子が原因。


筋ジストロフィーの診断

臨床症状 ----- 筋力低下、歩行開始の遅れ、転倒が多いなどの所見で筋ジストロフィーを疑います。
採血        -----  CPK-MMが高値
筋電図     -----  神経でなく筋肉に異常
DNAテスト -----  デュシェンヌ型やベッカー型などでは遺伝子を診断可能
筋生検   -----筋ジストロフィーに特徴的な病理所見


筋ジストロフィーの種類

筋ジストロフィーは、いろいろな病型があります。大部分はデュシェンヌ型です。

■デュシェンヌ型筋ジストロフィー……ほとんどの筋ジストロフィーはこの病型。

■ベッカー型筋ジストロフィー……デュシェンヌ型と比べて症状の発現が遅くなります。

■福山型筋ジストロフィー……出生後すぐに症状が出現し、精神発達障害、ケイレンを合併します。

■肢帯型筋ジストロフィー……腰殿部から発症し、上肢、下肢に進行する。多数の遺伝子異常が報告されています。


筋ジストロフィーの病理

筋ジストロフィーの確定診断には筋肉の生検が必要です。
デュシェンヌ型筋ジストロフィーでは筋肉の細胞膜にジストロフィンがほとんど染色されません。

筋肉生検

デュシェンヌ型筋ジストロフィーの筋肉細胞 ジストロフィン染色 細胞膜がほとんど染色されません


ベッカー型筋ジストロフィーではジストロフィンは部分的に細胞膜が染色されます。


筋ジストロフィーの治療法

筋肉の変性を止める治療法はまだありません。長下肢装具による歩行能力の維持、電動車椅子などが有用です。筋力低下を防ぐためのリハビリテーション。呼吸管理、栄養管理などが必要とされます。
将来的には遺伝子治療が可能性のある治療法として考えられています。
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