【起業時、大変だったこと】「はい、原会計事務所です」という第一声を出すのが本当に辛かった…
試験の合格と同時期に子供を出産したので、仕事がスタートするのとほぼ同時に育児もスタートしました。当時は仕事の量はそれほど多くはなく自宅を事務所にしていたので、気持ちの切り替えが辛かったです。子供をだっこしながら仕事のモードにならないんですよ。特に母乳をあげているときに仕事の電話がきても、気持ちが切り替わらないんです。電話の音を聞くだけですごく気持ちが滅入って、「はい、原会計事務所です」という第一声を出すのが本当に辛かったですね。だから、事務所を自宅ではなく外に出したんです。事務所を外に出したので、自宅と事務所の移動があります。たった200メートルくらいでしたけど、この移動の間に気持ちの切り替えができるようになりましたね。
【資格について】「資格」というのは、女性が持つことで、さらなる効力を発揮すると思いますね。
子供が成長するにしたがって時間をとれるようになり、仕事も順調に拡大してきました。でも、私の中で一番大切だったのは、いつも子供なんです。そばにいてあげられないけど、子供が私を求めた瞬間には対応したいと思っていました。たとえば、打ち合わせをしていても、携帯のマナーモードはオフにして子供からの電話には必ず出ましたよ。もちろん、ひんしゅくは買いましたけど、本当に困った時しか電話をしてこないので、「その時」には助けてあげたいと…。そうすれば子供は満足をしてくれるんです。親がいないことをネガティブに捉えたり、やさぐれたり(笑)しないで済みます。仕事と育児の両立で悩むお母さんは多いと思いますが、やっぱり子供が心身ともに健康でないと、結局、母親は働けないんです。
資格は女性の強い味方になる。
それに、子供の近くで仕事ができれば、子供の「はじめて」の体験を自分の目で見ることができます。たとえばはじめて歩いたとか、はじめて立ったとか、ですね。私は、これらを全部見てこれました。
だから、資格をとって子供のそばで仕事ができるのはいいですよ。逆にいえば、資格をとってしまえば、そういうことも可能なんです。資格は仕事をいただくうえでの方法の1つです。「資格」という看板があるから人ははじめて信用してくれる。私の話を聞いてくれる。つまり入り口なんですね。
女性の場合、出産や夫の転勤で、どうしても会社を辞めなければならないこともあります。でも、資格があれば次のステップがあるんです。家で仕事をすることもできます。自分のペースで仕事をすることができるんです。だから、資格というのは、女性が持つことでさらなる効力を発揮すると思いますね。
さて、次回の記事では、税理士という立場からの起業家たちへのメッセージをお伝えする。
女性が起業するということ~税理士 原尚美編(2)~