電機関連のメーカーはというと…? 例年参加していたパイオニアなどカーAV関連のメーカーが出展を止めるなど、少々寂しい展開だったが、それでも注目技術には事欠かない内容だった。
進化したスマートフォン連携がカーAVを変える
目に付いたのは、スマートフォンとの連携だ。今でもiPhoneを接続して、音楽再生や充電などができるカーナビはあるが、それとは違う。車載ディスプレイ側は表示&操作のみ。スマートフォンの画面が車載ディスプレイに映り、車載ディスプレイのタッチパネルでスマートフォンのアプリを操作できるというものだ。例えば、日立のブースにクラリオンが展示していたスマートフォン連携システムや、デンソーのアルペジオ、トヨタがスマートモビリティシティに参考出品していたシステムなどがそれだ。
これならスマートフォンに必要なアプリをダウンロードすれば、機能をどんどん増やせる。たとえばカーナビが欲しいなら、スマホにカーナビアプリをダウンロードすればいいし、音楽プレーヤーやインターネットラジオ、メーラー、インターネットブラウザ、TwitterやFacebookなどのソーシャルメディア…。さまざまなアプリが車内で使えるというわけ。
しかも、これまでなら新しいカーナビが欲しいと思ったら、本体丸ごと買い替えなければならないわけだが、この方式ならアプリをバージョンアップ、または別のアプリにすれば、カーナビが新しくなる。ユーザーの懐にも優しいのだ。
アプリ次第でスマートグリッドとの連携も?
これが発展していけば、より高度なスマートフォン連携が考えられる。例えばサーバーに保存した音楽や動画を車内で楽しんだり、スマートフォンと車両情報を連携させ、サーバーでその情報を管理することで、高度な燃費や電費の管理が可能になる。他にもクルマから家の空調等、スマートグリッド家電を操作できたり、スマートハウスやスマートシティなどの情報を確認できたり、あらゆる情報を車内で管理できるようになる可能性をもっているわけだ。東京モーターショーへの出展は無かったが、パナソニックは欧州のトヨタiQ向けに、MirrorLinkという技術を採用したスマートフォン連携のディスプレイオーディオを発表しているし、デンソーのアルペジオも2012年には立ち上げ予定だという。
カーナビ機能に限っていえば測位精度など、弱点がないわけではない。しかし、パイオニア×ドコモがスマートフォンを車載するクレイドルに各種センサーを内蔵して、スマホの測位精度を向上させる技術は実用化されているし、MapFan for iPhoneのように、スマホ側に地図データを組み込む方式なら、通信不能な場所でも地図表示に問題ない。スマートフォンと車載機器の連携は、今後のひとつの鍵といえる。