メルセデス・ベンツ/メルセデス・ベンツの車種情報・試乗レポート

エキスパートにこそ楽しんで欲しい、ブラックシリーズ(2ページ目)

近年稀にみる“乗って楽しいFRスポーツクーペ”C63AMGクーペをベースとした、ブラックシリーズ。AMGファンあこがれのブラックシリーズ第4弾だ。最高出力517psを発生するAMG珠玉の6.2リッターエンジンは、ほぼファイナルスペックに。ツーリングカー選手権気分で楽しむべき、エキスパート向け超本格派“ハコのスポーツカー”だ。

西川 淳

執筆者:西川 淳

車ガイド

ライドフィールは“背の高いSLS”

M・ベンツC63AMGクーペ ブラックシリーズ

6.2リッターNAエンジンはSLS用パーツを多数用いてチューニング、最高出力517ps/最大トルク620Nmを発生する。0-100km/h加速は4.2秒となる

試乗会は、コークスクリューで有名なラグナセカサーキットで行われた。結論からいうと、ほとんど背の高いSLSというべきライドフィールだ。ノーマルC63よりもはっきりとラフなアイドリングが、ある意味、SLS以上にドライバーの気分を盛り上げる。ストレートをアクセル全開ですっ飛んでみれば、とてつもなく安定しており、ノーマルC63クーペにあった“尻の軽さ”など微塵も感じられない。

V8のエグゾーストノートも豪快だ。音もほとんどSLS級と言っていい。まるでアメリカンマッスルカーだ。外で聞いていると、ベルント・シュナイダーが駆る先導車のSLSとほぼ同じサウンドを響かせていた。もっとも、日本人はこういうサウンドよりも、フェラーリのように乾いた音の方が好きだろうが。

スタビリティの高さは、安心のハードブレーキングへと繋がる。フラットライドを保ちつつもアシは非常によく動き、路面に張り付いたままコーナーへ進入した。シフトダウンのサウンドがけたたましい。前輪の動きはとてもクイックで、気持ちよく内を向く。ノーマルC63クーペのように、スロットル加減でいともカンタンにオシリが流れ出すようなことはなく、リアはしっかりグリップしたまま。これをブレークさせるには、かなりのウデが必要だ。

再び結論。やっぱりシロウトには手に負えない、エキスパートにこそ楽しんで欲しい、極上のFRスポーツクーペであった、とでも思って、注文し損ねた人はその悔しさを紛らわせるほかない。

M・ベンツC63AMGクーペ ブラックシリーズ

トランスミッションはAMGスピードシフトMCT7速スピードトランスミッションを搭載。オイルクーラーはSLSのコンポーネントが採用され、冷却面積を50%拡大した

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