ガチョウの金の卵は欲張りへの戒め
農夫が飼っていたガチョウは1日1個の金の卵を産むのですが、農夫はいっぺんにたくさんの卵を欲しいと思って、ガチョウの腹を割いて開けてしまいます。ところが、お腹の中に金の卵はなく、ガチョウは死んでしまいました。欲張って一度に大きな成果を得ようとすると、その成果のリソースまで壊してしまうという教訓のお話なのですが、実はこれは単利のお話です。一匹の親は一個の卵を産み続けるだけで、足し算が繰り返されます。きっと複利という概念が発見される以前の寓話であるからでしょう。その後に発見された複利の法則を知っている私たちなら、この話を次のようにリメイクすることができます。
もしイソップ寓話を書き直すなら
1日1個の卵を得ることは、卵を売るにしても食べてしまうにしても単利です。この話を複利を知っていれば、こんなお話にもなります。金の卵を産むガチョウを飼っている普通の農夫がもっと金の卵を欲しいとお腹を割こうする所へ賢い農夫が現れました。賢い農夫は金の卵をふ化させて子どものガチョウとして育てることをすすめます。ガチョウの子どもはまもなく親鳥となって、親ガチョウと同じように金の卵を産みました。子ガチョウが産んだ金の卵をまたかえして孫のガチョウが産まれました。孫ガチョウも金の卵を産み、またそれをかえして育てました。こうして農夫は一匹のガチョウから数千羽のガチョウを育て、最終的には億万の金の卵を得ることになったとさ。
これが複利の威力です。
アインシュタインも絶賛した複利のパワー
かのアインシュタイン博士が人類最大のパワーと絶賛した計算が複利です。「数学の歴史上、最大の発見は何か?」と聞かれて、アインシュタイン博士はまよわず「複利」と答えたのだそうです。
次のような比較をしてみると、アインシュタインの驚きもうなずけるはずです。もし、ガチョウが毎日ではなく毎月1個の金の卵を産み、卵からかえったガチョウの子どもも1年後から毎月1個の金の卵を産むと仮定して計算してみましょう。
単利であれば、1足す1を繰り返すので、金の卵は1年で12、10年で120にしかならないのですが、複利では、1年で12であれば、2年で144(12X12)、10年ではなんと61,917,364,224(12の10乗)。実に5億倍です!
単利運用はどこまでいっても足し算ですが、複利運用はベキ乗計算なので、後になるほど驚くほど増えるのです。まさに複利とは魔法のように数字を増やしてくれます。これを人生に応用しない手はないでしょう。
ということで、投資の基本は複利運用なのです。