電子マネーは便利だが「便利は危ない」
ライフハックは進取の気風といいますか、新しくて便利なものを積極的に活用して生活や業務の改善を図るものです。マネーハックの連載でも新しいテクノロジーや金融商品の活用を考えてみたいと思います。今回は電子マネーについて考えてみます。鉄道会社やコンビニ会社が次々と電子マネーに対応したことで、電子マネーはぐっと身近なものになりました。
電子マネーは小銭を出さずとも買い物ができる便利な仕組みです。しかし便利な道具というものは概して危ないものでもあります。
例えば、包丁やマッチは生活を便利にしましたが、ケガや火事の危険ももたらしました。しかし危険だからと便利さを無視するわけにはいきません。上手に使いこなすことが大切です。
今回は便利な電子マネーの賢い使い方をマネーハック流に考えてみます。
ダメな電子マネーの使い方
典型的にダメダメな電子マネーの使い方はだらだらと決済するようなやり方です。利用額も利用状況も考えずに、小銭を使わなくても便利、とばかりに決済しまくるような人がいますが、これはクレジットの引き落とし日に慌ててしまう危険性があるだけでなく、心理学的にもムダづかいを招く恐れがある使い方です。電子マネーは、実際の現金を動かしません。私たちは現金を動かすことで、お金を使った重みを感じています。500円玉1枚を使うより、夏目漱石が1枚消えたときのほうが心理的重みを感じます。物理的にいえばコインの買い物のほうが「重い」わけですが、心は金額の重さを感じているわけです。
電子マネーの危険性はこの「重さ」が感じられないことにあります。ある分析によれば電子マネーのほうがお客の財布はゆるむ傾向があるそうです。つまり、電子マネーのほうがムダづかいを誘発しやすいということになります。
よく、クレジットカードの使いすぎに注意、といいますが、これも実際のお金の重みを感じずに買い物できてしまうからです。10万円(福沢諭吉さん10人!)を現金で買い物したらおそらくかなりの勇気がいるでしょう。しかし、クレジットカードで分割払いで10万円買い物することは比較的簡単ではないでしょうか。
同じように電子マネーも「お金の重みが軽い」買い物になってしまうことがもっとも注意すべき点なのです。
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