オープンエアで満喫できる、クーペと違わぬライドフィール
最高出力571ps/最大トルク650Nmを発生する6.2リッターV8エンジンに、デュアルクラッチトランスミッションの7速AMGスピードシフトDCTを組み合わせる。0-100km/h加速はクーペと同等の3.8秒
結論からいうと、クーペと同様に、最高のドライビングカーであった。要するに、運転席だけが楽しいクルマ、である。派手なオープンカーとなって、クーペに比べると軟派な印象も増しているわけだが、なかなかどうして、そのライドフィールは硬派に徹していた。
もちろん、新設定のライドコントロールシステムをコンフォートにして走れば、クーペの標準仕様よりも当たりがマイルドになって、凶暴なまでにハードな乗り心地感覚も幾分かは薄れる。けれども、それはあくまでも相対的にそう感じるというレベルであって、絶対的にはビシッと筋の通った、ハード&フラットに徹したライドフィールだった。機敏な、を通り越して、アジリティ全開のステアリングフィールも、クーペ同様、助手席に乗るレディにとってはゲインが強過ぎて目がついていかず、あっという間に目が回ってしまうというシロモノ。ハードな乗り心地による不快さを、いっそう助長してしまう。
モナコの海岸線を優雅にドライブ、なんてクルマでないことだけは確かだ。ホワイトとブラウンと、レザーとチタンカラーの派手なインテリアが抜群に格好よく、思わず美女を連れ回したくなったとしても、これは、一人で純粋に運転を楽しむべき、超贅沢なロードスタースポーツカーだ。メルセデスのオープンカーでレディをエスコートしたいのなら、SLクラスがやっぱり適している。
新車が納車されても、愛しの彼女を乗せる前に、どうか一人でまずは乗り込んでみて欲しい。サスペンションをスポーツプラスに、DCTの変速セットもスポーツ+に、そしてセンターモニターの画面を新たに装備されたパフォーマンスメディアページにセットし、さらには自らの目も三角にして、ワインディングロードを目指そう。そこでは、クーペと寸分違わない、スリリングでよくできたFRらしいスポーツドライビングを、オープンエアという最高の環境で満喫することができるはずだ。
迫力のエグゾーストノートが乗り手の身体をダイレクトに震わせてくれるという、極上のおまけが付いて……。
AMGスポーツサスペンションに加え、オプションで減衰力を調節できるAMGライドコントロールスポーツサスペンションを採用。コンフォート、スポーツ、スポーツプラスが選択可能となった。また、ESPも3段階(オン、スポーツ、オフ)に切り替えることができる
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