2型糖尿病における睡眠の役割

睡眠トラブルのある人は2型糖尿病になりやすいのです

ますます寝不足の現代人に、いろいろな健康トラブルが忍び寄ってきます。2型糖尿病や肥満もその一つ。玉子(病気)が先か、ニワトリ(睡眠不足)か?の答は、どうもニワトリが先のようです。
睡眠の質や時間が2型糖尿病に及ぼす影響はホットな研究テーマですが、糖尿病予防やよりよい血糖コントロールには、人によっては毎晩1~2時間余分にぐっすり寝るだけで済むかも知れません。最新情報をまとめてみました。

睡眠不足が2型糖尿病をもたらす可能性を最初に指摘したのは1999年に英医学誌The Lancetに発表されたシカゴ大学の論文です。
2型糖尿病とは無関係の若者たちに、一週間研究室で生活してもらいました。ただ、睡眠時間だけは6夜続けて通常8時間の半分の4時間に制限しました。そうするとブドウ糖を処理する能力が障害されて、一週間後にはまるで高齢者や2型糖尿病の初期のような状態になってしまったのです。
睡眠が脳の休息だけでなく、体の糖代謝やホルモン分泌、老化にも影響するようなのです。
同じような趣旨の論文を「寝不足で糖尿病!?眠りと血糖値の関係」で紹介してありますのでご覧ください。

現在の研究によって睡眠時間だけでなく、脳の深い眠りの状態、すなわち徐波睡眠の障害が2型糖尿病のリスクにつながることが明らかにされました。
睡眠の「質」に注目が集まっています。
寝つきの悪さ、不眠やいびき、睡眠時無呼吸といった睡眠障害がインスリン抵抗性や血糖コントロールに関連しているのです。

2010年のDiabetes Careの論文では、睡眠障害で一日5~6時間しか眠れないグループと、逆に8時間も9時間も寝ているグループが2型糖尿病になりやすい結果になりました。
寝過ぎの糖尿病の原因は分かりませんが、高血糖やウツやガンなどで疲れやすいなど、既に体調が悪いことも考えられます。
また、よく話題になる肥満による睡眠時無呼吸症候群や肥満による2型糖尿病など、いずれも玉子が先かニワトリが先か?の難問です。

多くの研究が睡眠と糖尿病の関連を示していますが、生物学的な説明はあまりありません。
そんな中で、注目されているのが脳です。
生物は年周期、日周期に対応する時計(リズム)を持っていて、全く環境変化のない宇宙空間でも継続する能力があります。
人間は脳の視床下部という、呼吸や体温をコントロールしている中枢の一部に視交叉上核と呼ばれる生物時計の組織を持っています。
体は約24時間周期のリズム(サーカディアンリズム)、ほぼ同じ時刻に食事をし、仕事、休息、就寝、目覚めのリズムを多くのタンパク質と糖代謝、脂肪代謝をコントロールしながら体の活動を保っています。

インスリンはエネルギー(糖)の出し入れに必要なホルモンですから、活動的な日中に多く分泌するようにセットされているのでしょう。
現代人のように食事も睡眠も気ままな行動では24時間のサーカディアンリズムも狂ってしまいます。インスリンも血糖を上げるグルカゴンも同様です。
動物実験のレベルですが、マウスに高脂肪食を与えるとサーカディアンリズムが狂うようですし、マウスにおまけの食事を与えると、サーカディアンリズムを変更してその食事を待つようになったという発表もありました。

分子レベルで睡眠と2型糖尿病の関連を科学者が解明してくれるのはまだ先のことですから、私たちはまず規則正しい生活リズムに積極的に介入しましょう。
活力ある明日のためには、よい眠りからです。

■関連リンク
不眠・睡眠障害(AllAbout)
寝つきの悪さは,糖尿病リスクおよびQOLの低さと関連する(HIPOP-OHP)
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