粉の女
ガイド:9曲目の「粉の女」……素敵に仰々しい曲! でも、不可思議なタイトル。戸川純ちゃんは「蛹化(むし)の女」と歌っていましたが、「粉の女」ってどんな女?
浜崎:
私個人の解釈ですが、人間や形あるもの全て死んでしまうと粉になってしまう。歌詞を見たときにこの曲はレクイエムなんじゃないかと思いました。この曲、制作時間が全てのレコーディング時間合わせても20時間も満たない曲なんです。時間がなかったけど衝動やひらめき、メンバー全員の瞬発力を遺憾なく発揮出来た楽曲だと思っています。勿論もっとこうやれたのでは、というのはありますがそういう時間があったらこの形にはならなかった。そういう事をレコーディングの度に感じています。私はこの曲をアルバムに入れるのに凄く大きな意味を感じていて、自分の中でとても大切な曲です。なんと歌いながら泣きそうになってしまって。今まで「良い曲だなぁ」と思いながら歌うことはあったのですが、ここまで感情が高ぶったのは初めてで、他にも「子供の恋愛」でもそうなったし、今まで感情の起伏がないとか淡々としていると言われていた自分の唄に熱や血が通った気持ちになってます。
松永:
プログレっぽい叙事詩的な曲を作るのはインディーズ時代からの小さな夢でもあったわけですが、メジャー初のアルバム制作も終盤にさしかかってようやく現実のものとなりました。「粉」についてあまり語るとまた大人の皆さんが出てきて懲らしめられてしまうのでご想像にお任せしますが、震災直後、計画停電で真っ暗になった街を歩いていてこの曲を着想したのは、必然であったといえるでしょう。ひねくれきった詞ばかり書いてきた僕ですが、この曲や堕天使ポップはこれでもかというぐらいストレートに書いてしまいました。ちょっとそうせざるを得ない世の中になってきたので。
(10曲目はシングル「ときめきに死す」のMix曲)
ももいろクロニクル
ガイド:ラストにして11曲目の「ももいろクロニクル」……タイトルはもう説明するまでもないほどに、言葉遊びなのですが、ここまで来ると松永さんのポリシーを感じます。絶望と希望が同居するラストに相応しい荘厳な曲。で、ももクロはやはりお好きなのでしょうか?
浜崎:
「ときめきに死す」で映画の本編が終わったなら、この曲はエンドロール的な意味合いで収録しました。エンドロールって、見終わった後にあれはどういう意味だったのだろう、とかいろいろと考える余地を与えてくれる場だと思うんですけどこの曲も見事にそうなったんじゃないかなと思います。人は断言されることによってある種の安心感を覚えると思うんですよね、アーバンの今までの楽曲の中でもストレートだしメッセージ性の強い楽曲になったと思ってます。
松永:
ももクロはチョコクロよりも好きです。
何度も繰り返される「君の病気は治らない/だけど僕らは生きてく」というフレーズが、いわばこのアルバムに通底するメッセージです。呪詛のように繰り返される文句が聖句に聴こえ、コラールとして響いたなら、この作品における我々のミッションは成功と言えるでしょう。ただ歌詞が余りにも僕自身の個人的な言葉になってしまったのが、個人情報ダダ漏れし過ぎて大丈夫かという感じですが。この曲を聴いてくれているあなたに(あなたです)、送ります。
浜崎:
やはり人って、自分の事に気づいて欲しいんじゃないかなって思います。誰でもその他大勢より一対一で接して欲しい、私の事を気にかけてほしい、私だけを見てくれる人がいたら...とかそういう感情ってあると思うんです。これからも「誰か」ではなく「あなた」に対して作品を作っていけたら。誰かのことを歌っているんじゃなくて、私の事を歌っているんじゃないかって言われる事が我々の原動力になります。ちなみに私はチョコクロも好きです
\(○^ω^○)/