子供の病気/その他の子供に多い病気

ダウン症候群の原因・症状・経過

ダウン症候群は遺伝子を含む染色体の異常です。21番目の染色体が普通は2本ですが、3本あるために、様々な症状を起こします。染色体に対する治療方法はありませんが、学習やトレーニングなどで才能を発揮している人もいます。

清益 功浩

執筆者:清益 功浩

医師 / 家庭の医学ガイド

染色体について

染色体

細胞の中には、遺伝子を含む染色体が46本あります

人の細胞の中には、遺伝子をしまっておく染色体があります。染色体は特殊な染色で染まるので染色体と言っていますが、遺伝子が集まってできたものです。人の染色体は46本あります。22本は対になっています。男性と女性では、染色体が異なり、男性は44本+X染色体とY染色体、女性は44本+X染色体とX染色体になっています。

ダウン症候群

22本の対になった染色体を順番に並べていき、21番目の染色体が1本多いのが「ダウン症候群」と言います。ダウン症候群特有の顔貌があります。
  • 頭が短い
  • 丸い顔で首が短い
  • 釣り上がった目
  • 目と目の間が広がっている
  • 鼻が広くで低い(鞍鼻)
  • 舌が大きい
  • 耳の形がおかしい(耳介変形)
などで、一定の特徴があります。

ダウン症候群の原因

約1000人に1人発症すると言われています。発症頻度は妊婦の年齢によって異なり、35歳で300人に1人、40歳で100人に1人と言われています。原因は、染色体が精子や卵子になるときに、1本ずつの23本に分かれるのですが、その時に、うまく分かれずに24本になってしまう卵子や精子ができるためと言われ、母親で分かれにくいのが80%程度、父親で分かれにくいのが20%程度と言われています。これは、卵子は染色体が23本になっている時期が若い時に起こっていて、そのまま、長い間、23本になる中で、様々な要因で、染色体が傷つき、ダウン症候群が発症しやすくなると言われています。そのため、高齢出産で発生しやすくなります。

ダウン症候群の症状

21番目の染色体が多いために、様々な症状がありますが、すべて出現するわけではありません。
■精神・神経の病気
発達の遅れ、精神発達の遅れ、無熱で痙攣が起こる「てんかん」

■心臓の病気
  • 左右の心臓の部屋の間に穴が開いている心房中隔欠損、心室中隔欠損、心内膜欠損
  • Fallot四徴症(心室中隔欠損、肺動脈狭窄、大動脈騎乗、右心肥大)という心臓の病気
になることもあります。

■消化管の病気
食道が通りが悪いか通っていない食道狭窄または閉鎖、肛門の穴が無い鎖肛(さこう)、俗に言う「出べそ」である臍ヘルニアなどがあります。

■整形外科
手足が動きと筋肉が柔らかい筋緊張低下、関節過進展がみられ、首の動きが悪い環軸椎脱臼を合併することがあります。足も偏平足であることもあります。手では、しわで知能線と感情線が一本になった猿線が見られます。

その他、口唇・口蓋裂、白内障、白血病、甲状腺機能低下症(クレチン)、早期老化、性腺機能低下症などがあります。

これをすべて合併するわけではなく、これらの症状の無い人もいます。

次のページでダウン症候群の検査と治療を説明します。
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