気胸とは…肺と胸膜の間に空気が溜まってしまう病気
気胸は、肺炎、交通事故などの外傷によって引き起こされる病気
「気胸」とは、肺炎、交通事故などの外傷で、肺が破れてしまい、肺から空気がどんどん出て行き、胸膜と肺の間に空気が溜まってしまう病気です。肺は丁度風船のようなもので、破れるとしぼんでしまいます。
肺は、酸素と二酸化炭素を交換する大切な臓器ですから、肺がしぼんで機能しなくなると、体の中に酸素を取り込むことができません。肺と胸膜の間に空気があることを気胸と言いますが、特に、肺がしぼんでしまうことを「緊張性気胸」と言って、緊急性を要します。
気胸の症状…呼吸困難、咳、胸痛など、突然発症することが多い
肺の外側に空気がたまってしまう病気が気胸です
- 呼吸困難(呼吸ができない、息が吸えない、動けない)
- チアノーゼ(顔色が悪い、唇の色が悪い)
- 頻脈・動悸(心臓が拍動が早い、ドキドキする)
- 咳
- 違和感(特に肩や鎖骨の辺りに感じる)
- 胸痛
- 空気飢餓感(空気が吸えないように感じる)
気胸の原因…肺炎や交通事故などによる外傷が原因となることも
原因不明が多く、その場合「自然気胸」と呼ばれています。この自然気胸は、背が高い、痩せ型、10歳~20歳代の若年の男性に多いです。リスクとしては、タバコなどの喫煙、運動、姿勢の悪さ、気圧の変化、ストレス、睡眠不足などが挙げられています。マルファン症候群(背が高く、手足が長い)と言う皮膚の中の組織が弱い先天性の病気の場合は気胸を起こしやすいです。肺の中に、嚢胞(ブラ)と言って、肺胞が一部壊れて、大きな風船になった部分が破れて、気胸を起こすこともあります。子供では新生児に多く、産まれた時に肺での羊水が吸収が悪く、羊水がにごっていたら、起こりやすいです。慢性肺疾患などの肺の病気があると、気胸を起こしやすくなります。
「2次性気胸」は、外傷で多く、特に交通事故などで起こります。
気胸の診断…胸部X線、胸部CT、聴診など
画面を見て左側で肺の外に空気があって、黒く写っています。肺は白くなっています
基本は、聴診して、肺の中に呼吸とともに入ってくる空気を確認します。肺に空気が入っていない場合は、緊張性気胸の可能性が高く、緊急で処置する必要があります。
気胸の治療…嚢胞がある場合は、嚢胞を切除する方法も
治療は、まず肺の外にある空気を除く必要があります。肺の外への空気が非常に少なく、増えていない場合は安静にして、無理な動きをしないようにします。しかし、空気が減らずに増えていく場合は、胸に切開を入れ、空気を抜くためのチューブ(ドレーン)を入れて、空気を抜くことになります。新生児気胸で何回か行いましたが、緊急時には注射針を入れて、空気を外に逃がす緊急処置を行わないといけないこともあります。
気胸を起こしやすい人は、「胸膜癒着術」を行うこともあります。胸膜癒着術は薬などを使って、胸膜同士をくっつける空気がたまらないようにする方法です。癒着が不十分ですと、再発してしまい、その時には、ドレーンを入れることができなくなりますが、症状は軽くなる可能性があります。
嚢胞がある場合は、嚢胞を切除する方法もあります。
気胸の予後…原因不明の「自然気胸」は、再発を起こす可能性も
自然気胸は、原因が不明のため、再発を起こす可能性があり、左右どちらでも起こります。何も治療せずに安静にて治った気胸は、約50%程度、再発します。外科的な治療をしても10%以下程度で再発します。
治療の有無に関わらず、安静を必要とします。一度、気胸を起こしたことのある人は、気圧の変化のある飛行機や登山、呼吸を使う管楽器の演奏、スキューバダイビングなどは再発の危険性があるので、医師と相談しておくことが必要です。
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