“アメリカ”のために作られた跳ね馬たち
では、まず、モータースポーツ・ギャザリング(MSG)で見かけたフェラーリをみてみよう。実はここ、入場料が400ドルもする週末最高額イベントにも関わらず、チケットが手に入らないほどの人気ぶり。理由は、発行数=入場者数が限られていて、比較的見やすいこと、さらに世界各国の料理(伊仏独など)が食べ放題、ワインもジュースも飲み放題という何とも豪華な内容になっているからだ。もちろん、展示されるクルマたちの質が高いことも重要な要素。それだけに各プレミアムブランドも競ってスポンサードしており、有料入場者は各メーカーが主催するさまざまなアクティビティ(SLSやアヴェンタドールなどスーパーカーの試乗や、ヘリコプターの同乗、オフロード走行など)にも無料で参加できる!
今年のMSGには、例年の“グレイテストフェラーリ”展示に加えて、“フェラーリアメリカ&スーパーアメリカ”という特別企画も行われた。アメリカ市場を意識して作られ、その名もズバリな跳ね馬たちが集ったわけだが、異彩を放っていたのがコレ、ギアボディ。いやあ、ポインターかと思いましたわ(失礼)。
ちなみに、410SAそのものは、3年間でたった37台しか作られなかったのだそう。
顔つきもさることながら、このお見事なテールフィン。実はこの頃の欧州プレミアムブランドって、みんな、アメリカンデザインの影響を受けていた、ということ(もちろん世界最大市場でのウケも期待して)。最近、限定のCHINAシリーズもけっこう出されはじめたから、もうじき万里の長城みたいなフェラーリが出たりして……。
そして、そのお隣には、3台のみ作られたと言われているヴィニャーレ製ベルリネッタボディの375アメリカ。何とも優雅でオシャレ。テールフィンもこれぐらいに収まってくれればエレガントですわね~。初代オーナーがかのスティーブ・マックィーンだったという噂も。
このイベントは金曜日に開催されるから、モントレーの週末の、言ってみればウォーミングアップ(にしちゃ豪華過ぎるが)。日曜日に行われるオークションで、この250TRのプロトタイプが13億円で落札されることになろうとは……。この個体(9番)だって、たぶん、ほとんど価値は変わらないハズ。ちなみに250テスタ・ロッサのシリーズ生産台数は、わずかに33台。
グレイテストフェラーリコーナーにあったのが、これも激レア、57年にわずか5台のみ生産された、ザガートボディの250GTロングホイールベースクーペ。いやあ、美し過ぎてため息も出ません。クルマなのにこの世の物とは思えない……。