自覚症状よりも深刻……意外と多い重度の歯周病

歯周病の自己判断

まだ大丈夫!と思っていても、手遅れになっていることも多い

「少し前から歯がぐらついて、腫れて痛くて噛めなかったんです」「今は水もお湯も全然しみませんよ」「ときどき腫れたりを繰り返しています」「実は病院に通うのは5年ぶりです」

40代以降でこのような症状で来院された方を診療してみると、問題となっている歯の歯周病が深刻に進行していて、すでに抜歯しか治療の選択肢がなくなっている場合があります。

特に注意が必要なのは、ブリッジが入っている患者さん。歯周病が進行している歯がブリッジで他の歯と繋がっている場合、自分では少し揺れるかなと感じる程度でも、単独ではほとんどフラフラ状態ということもあるのです。

ブリッジは歯を固定してしっかり感がメリットがある反面、土台の歯の1本に歯周病が進行しても、揺れとして自覚しにくく、早期発見が遅れてしまうことがあります。

名医でも元には戻せない! 体のためにも必要な抜歯治療

歯ぐきの中の抜歯

歯が抜けなくても、すでに歯ぐきの中では抜歯されていることもある

歯周病が進行すると、だんだん歯の周囲の骨が溶け、歯がグラグラしていきます。そのまま放置すると、歯の周囲の骨が全て溶けてしまいます。イメージ的には、骨が溶けると歯が抜けると思いがちですが、そんなことはありません。

歯の周囲の骨が溶けてしまっても、歯ぐき繊維の一部が歯に付着しているため、なかなか抜けない状態が続きます。そのため、まだ大丈夫という自己判断になりがちなのです。

そこで多くの人は、自然に抜けないということは、まだ手遅れではないのだろう、今からしっかり治療すれば歯を残すチャンスがあるかもしれないと考えます。しかし残念ながら、歯の周囲の骨が溶けた状態からは、どんな名医でも抜歯という治療しかできません。

歯周病の炎症は、歯石の表面など付着した細菌などが、毒素を出し体内に入り込もうとするのを防ぐため、生体の防御機能を使うために起こります。さらに歯ぐきの奥にある骨は、細菌が近付いてくると、自分が感染するのを防ぐために、自ら溶けて逃げ、細菌との距離を保とうとするのです。

歯の周囲の骨が全てなくなった状態は、歯がそれまでの体の一部から、細菌に占拠された「異物」としての固まりと判断されたということです。すでに有害で必要のない「異物」から、骨は自らを溶かして逃げているのです。例えるなら、体によって歯ぐきの中で抜歯されている状態。これは早く抜いてのサインです。

この段階で抜歯すると、感染の恐れから自らを溶かして逃げていた骨も、有害な異物がなくなったため、何とゆっくり周囲の骨の高さと同じような位置までちゃんと回復します。

体が必要ないと判断したら、残すことを考えるより、むしろ体のためには抜歯することが必要なのです。

手遅れ歯周病になる前に……大切なのは早期発見

手遅れの歯周病になってから歯を残したいと願うことは、体の反応を無視したエゴのようなもの。実際にはそこに至るまでに、かなりの時間的ゆとりがあるのです。

本人の自覚がない段階でも、将来的に歯周病が進行しやい状況かどうかは、レントゲン検査で調べることができます。歯の周囲の骨の状況を確認し、さらにその時点での状況が、歯磨き、噛み合わせ、歯ぎしりなどでさらに悪化するかどうかも分かることもあります。

悪化を助長する原因をコントロール出来れば、最悪の状況を防ぐことや、先送りすることも可能となります。そのためには、自覚症状が出る前に定期検診などで早期に発見しておくことが大切です。
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