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大震災は住意識と住宅にどう影響を与えたか(2)

前回は東日本大震災を境に、日本人のエコ意識と家族意識、女性の住宅構造や耐震性への関心度が大きく高まっていることをお話しました。今回は「3.11が変える住宅市場60万戸時代」というテーマでプレス発表を行った「あの企業」を紹介。

河名 紀子

執筆者:河名 紀子

家づくりトレンド情報ガイド

「3.11が変える住宅市場60万戸時代」というリアリティながらもセンセーショナルなプレス説明会があると案内されて足を運んできました。足を運んだ先は「アールシーコア」。「『住む』より『楽しむ』」というコンセプトを掲げ、ログハウスや球体住宅など個性的な自然派住宅BESSシリーズで知られる住宅企業です。

「住宅市場は岐路に立たされている」

アールシーコア プレス説明会

プレス説明会では二木社長による住宅市場予測が刺激的だった

冒頭いきなり「現在、日本の住宅市場は岐路に立たされている」という問題提起で始まった同社・二木社長の挨拶。「これまで長い間、景気対策として新築住宅を奨励偏重してきた日本では、すでに言われていることだが、欧米よりも突出して着工数の多さと住宅寿命の短さがぬきんでている。つまり家までもがモノ消費の一つとしてきた結果だ」と、データを交えて説明しました。

すでに震災前でさえ、各シンクタンクが新築着工の大幅減少予測を警告していたことも紹介。
・2011~2015年の5年間の住宅着工年間平均戸数→90万戸(野村総合研究所、08年8月公表)
・2009~2013年の同→90万戸(日本経済研究センター、09年9月)
・同上→85.4万戸(三菱UFJリサーチ&コンサルティング、09年10月)

これは2004~2008年の年平均117万戸実績から少なくとも20~30万戸は減る計算で、事実、09年72万戸、2010年はかろうじて80万戸台に乗りましたが、まさしく上記シンクタンクが予測した減少戸数を着実にトレースしていることになります。

「震災の影響で60万戸時代が前倒しで到来する」

BESS「Smart Country」リビング

震災後に発表された「Smart Country」では、リビングが土間という新スタイル。

厳し目の予測をしている三菱UFJリサーチ&コンサルティングの中長期予測では、すでに震災前から「既存住宅戸数が世帯数を大幅に上回る」ことから2018~2028年の平均年間戸数を63万戸台を予測していたわけですが、アールシーコアでは提携の日本モーゲージサービスによる分析で「2012~2014年は震災復興需要で一時的に90万戸と上がるが、消費税駆け込み反動もあり、2015年から60万戸時代が到来する」と予測しています。

つまり、震災が起きてしまったがために需要を先食いしてしまい、三菱UFJリサーチが予測していた2018年よりも60万戸時代が早く来るという予測。「これは業界受難時代が前倒しで来ることになり、戸数減2.5割分の競争激化・淘汰再編が早晩始まる」と二木社長。しかし続けて「年間60万戸は厳しいことだが、市場の健全化に近づく数字であって悲観にくれているわけではない」と実に前向きに捉えているあたりも、常に時代の先を見つめたマーケティングをしてきた同社らしいところでしょうか。

さてその、震災影響と年間60万戸時代を想定して同社がリリースした住宅とは?
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