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MBA重要科目 ファイナンス論(2ページ目)

会社の価値を高めるためにお金の問題をどのようにするべきかを経営者として考えるのがファイナンスです。お金の問題を扱うだけに、数学(算数)の知識も必要。今回は、ビジネススクールのファイナンス論がどういうものかお話いたします。

福原 正大

執筆者:福原 正大

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資本政策

どの資本政策が企業価値を高めるか学ぶ

資本政策の企業価値への影響

企業価値を考えていく際に、ファイナンスの授業では企業の資本政策について初期に学びます。企業価値に直結するからです。資本政策とは、貸借対照表の負債部分を、株式と負債をどのような比率でもつかという資本割合を決定すること。言い換えると、ビジネスを日々行うのに必要なお金を、自ら(株主)まかなうところ(株式)と、他人からまかなう(銀行借入や社債発行)割合を決めることといえるでしょう。

この資本政策を決める際に使う理論は、MBA保有者であれば誰もが学んだモジリアニ・ミラー理論。この理論では、税金がない世界においては、資本割合がどうなっていても企業価値には関係がないということを示しました。言い換えると、現実の税金がある世界においては、株式と負債の割合を変化させることで企業価値は変わるのです。

現在価値を知ると投資をすべきかどうかが分かる

ファイナンスの必修授業で最も記憶に残る部分としては、現在価値の概念ではないでしょうか?企業価値を計算する際に、アカウンティングのように過去から学ぶのではなく、「未来を現在に割り引いてくる」という概念を利用するからです。事例で、現在価値を説明しましょう。

まず、あなたが新規投資「新商品の投入」をしたいとします。これをすべきかどうかを、現在価値から計算できるのです。簡単な例でみます。

  1. 新商品の投入をした場合、将来生じる利益をキャッシュフローで考えます。現在:0円、1年後:100万円、2年後:1,000万円、3年後:2,000万円とします。
  2. 新商品の投入をした場合にかかるコストを考えます。現在:3,000万円(初期投資)、その後0円。

ここからみると、1を全て足すと3,100万円となり、2が3,000万円となるので一見投資を行うほうがいいように思えます。

しかし、ここで考えないといけないのが、時間の価値。現在の3,000万円と未来の3,000万円の価値は異なるのです。例えば、現在の金利が2%であると、3,000万円は預金をすると1年後に3,060万円になるので、現在の3,000万円は1年後の3,060万円と等価になります。

こうした時間の価値を含めて、未来の投資を現在の価値に置き換えるのが現在価値という考え方で、計算式としては次のようになります。下記例では、金利2%が3年続くと仮定しています。

100/1.02+1,000/(1.02^2)+2,000/(1.02^3)=2,944万円

となり、投資の現在価値が投資コストである3,000万円を下回る通しとなります。したがって、当初の見立てと異なり、投資をすべきではないとの結論に至ります。

また、この現在価値の考え方を利用すると異なる投資期間プロジェクトの比較ができるようになり、上記の例のような3年間の新規投資プロジェクトと、10年間の新規投資プロジェクトを比較し、企業価値を高めるほうを選ぶことができるようになるのです。
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