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マルチ商法の被害者になった時の対処法は?(2ページ目)

マルチ商法。以前から、よく耳にする言葉ですが、マルチ商法とはどのようなものでしょうか?また、ねずみ講との違いはどのような点でしょうか?あなたも、知らないところで被害者になっているかもしれません。今回は、具体的な例を元にし、被害にあった場合、どのような救済方法をとっていくのか、みていきます。

酒井 将

執筆者:酒井 将

暮らしの法律ガイド

「連鎖販売取引」の定義

連鎖販売取引とは,次の4つの条件を満たす取引をいいます。先の事例を元に、見ていきましょう。

1 商品(施設を利用し又は役務の提供を受ける権利を含む)の販売(あっせんを含む)をする者、又は有償で行う役務の提供(あっせんを含む)の事業をする者 国民生活センター編『国民生活年報(2009年版)』
事業の形態には、商品の再販売、商品の受託販売、商品の販売のあっせん、同種役務の提供、役務提供のあっせんがあります。上記事例では、『美容サプリメントの販売をする人』として勧誘していますので、これにあたります。

2 特定利益が得られるとして誘う
特定利益とは、例えば「新たに商品を買ってくれる人を紹介した場合には、その新規購入者が支払った商品代金の一部から紹介料を支払う」場合における『紹介料』がこれに当たります。

3 その者に特定負担が伴う
特定負担とは、再販売をするために必要な商品を購入する場合における商品の購入代金や、初期費用として入会金・保証金・登録料・研修参加費用等の金銭負担が必要となる場合には、これらの費用がこれに当たります。事例では、『50万円の美容サプリメントを買うこと』が条件となっていますので、この商品代金が特定負担に当たります。

4 商品の販売・あっせん・同種役務の提供・役務提供のあっせんに係る取引(取引条件の変更を含みます)
この点について、上記事例は上記の4条件を全て満たしているため、「連鎖販売取引」に該当し、特定商取引法の適用対象となるわけです。


規制の内容

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特定商取引法とは?

連鎖販売取引に該当した場合、その取引を行う業者(事例ではA社)や勧誘者(事例では友人)はどのような規制を受けるのでしょうか。特定商取引法が定める主な規制内容には次のようなものがあります。

  1. 氏名・勧誘目的等を明示しなければならない
  2. 勧誘目的を隠して公衆の出入りしない場所で勧誘してはならない
  3. 重要事項についての不実告知・不告知・威迫・困惑させてはならない
  4. 書面を交付しなければならない
  5. 広告規制
  6. 承諾していない者に対して電子メール広告を提供してはならない

なお、上記3にある「不実告知」とは、虚偽の事実を伝えること、簡単に言ってしまえばウソの説明をすることです。また、同じく3にある「不告知」とは、重要な事実を伝えなかったことを指します。事例の「マルチ商法ではないの?」との問いに対し、答えをはぐらかして回答することも、このような取引が連鎖販売取引であることを否定する意味を告げるものなので、不実告知に該当すると考えられるでしょう。ちなみに、これらの義務のうち、違反をすると刑事罰の対象となる義務も定められています。
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