スマートグリッドは住宅を変える?
電力網がスマートグリッドになると、住宅はどんな変化を遂げるのでしょうか。スマートグリッドは「電力の流れを供給側と消費側の両面から制御・最適化」されるものですから、住宅にも小規模な発電設備が備えられることになります。その最も身近なものが太陽光発電だといえるでしょう。
太陽光発電で発電した電力は家庭で使用されますが、電力が足りない場合は不足分を電力会社から購入し、余った電力は電力会社に売電しているのが現状です。スマートグリッドが採用されると、余剰電力は主に電気自動車や家庭用蓄電池に蓄電され、電力ピーク時や太陽光で発電できない夜間などに使用したり、ほかの場所で利用されることになります。
この電力のネットワークを想定すると、太陽光発電などの発電設備のほかに、電気自動車や家庭用蓄電池などの蓄電装置、さらに、それらをコントロールする制御ユニットなどが家庭に必要になってきます。これらの機器が装備され、スマートグリッドにつながる住宅は「スマートハウス」と呼ばれ、現在さまざまな住宅メーカーを中心に開発・研究が進められています。
わが家をスマートハウス化するには?
住宅の中央にある「HEMS」とは家庭におけるエネルギー需要のマネジメントシステムのこと
まず、考えなければならないのは発電設備を設置することです。現在は、太陽光発電システムを取り入れるのが主流なので、家を建てる際は太陽光発電を検討しましょう。新築時に採用するのが難しい場合には、将来、設置するという方法もあります。その場合は、屋根に負荷物が搭載されるわけですから、屋根や構造体には十分な強度を確保しておきたいところです。
家庭用蓄電池など蓄電設備を設置するスペースも必要です。さらに、いずれ電気自動車にするのであれば、車庫部分に充電設備を設けられるようにしておくとよいですね。住宅内には制御ユニットを設置するスペースも必要になります。
忘れてならないのがケーブル類のスペースです。スマートハウスでは、機器どうしを繋ぐケーブル類が住宅内に配されることになります。新築時にスマートハウス化されていれば問題はありませんが、後から機器類を取り付けようと考えている場合は、あらかじめケーブル類のスペースを確保しておく必要があるでしょう。配線が室内に出てしまうことはもちろん、床や壁に新たに穴を開けるのは避けたいものですね。
スマートハウスは次世代の住宅
自宅に搭載した太陽光発電システムで光熱費をまかなうには、冷暖房効率のよい気密・断熱性に優れた住宅でなければなりません。具体的には、少なくとも次世代省エネルギー基準以上の性能が求められるでしょう。つまり、スマートハウスとは、基本性能の高い住宅だともいえるのです。スマートハウスは社会だけでなく、消費者側にも大きなメリットがあります。自宅でエネルギーをつくるスマートハウスは、住宅から排出されるCO2を減らすことができ、光熱費を削減できるからです。そういった点からも、今後の住宅のトレンドになる可能性のある住宅だといえるのではないでしょうか。