仕事と両立できる資産運用術/忙しくてもできる資産のメンテナンス法

持っている資産の全体最適を作る(リバランス)

資産配分の巧拙が投資の収益を決めるとはいっても、資産配分は固定していません。毎日変動するので、全体最適を作るためにはバランスを整えねばなりません。しかし、リバランスにはコスト(税や手数料)が伴います。頻繁にリバランスし過ぎても収益率を下げますし、放ったらかしでは荒れ放題になってしまいます。ルールを作って効率的にリバランスをしましょう。

北川 邦弘

執筆者:北川 邦弘

はじめての資産運用ガイド

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持っている資産の全体最適とはどういうことか

持っている資産の全体最適とはどういうことか

資産配分の見直しには、実は二つのステージがあります。一つは前章でご案内した新規購入(毎月購入)の部分の見直しです。二つ目にあるのは、すでに買ってある保有資産の部分の見直しです。

変形するポートフォリオを整形するリバランス

投資信託の時価は、株式市場での値動きと為替レートの変動の影響を受けて毎日変わっていきます。3分の1ずつ均等に買った投資信託も、もう買った次の日から均等でなくなっています。ましてや最初に投入した一括購入の30万円の部分などは投資信託ごとのバラバラの値動きの中で、生き物のようにその資産配分を変えていきます。2年とか3年経過すると、そのポートフォリオの中の資産配分は、毎月購入分の見直しをしているだけでは間に合わないほどに変形していきますから、どこかで調整が必要です。その調整をリバランスといいます。

この5年間のリバランス

たとえば、日本株、先進国株、新興国株の3資産を3分の1ずつ均等に買っていこうと始めても、この5年間には日本株が大きく下がり、先進国株も為替レートの影響で少しマイナスになり、新興国株だけが大きく成長しました。これを放置しておくとどうなるでしょうか?もし、日本株がこれから盛り返したときにはその保有比率が低いのでその反発の恩恵にあまりあずかれません。また、新興国株が暴落がしたらその保有比率が高いので必要以上に大きな損害をこうむります。結果として分散の効果を得られなくなります。そこでリバランスをするのです。

当初のポリシーが3分の1ずつ均等に!ということであったなら、上がった新興国株を全体の3分の1に収まるように売ります。その売った資金で配分の小さくなった日本株を(先進国株も少し)買います。こうして、資産配分を当初のポリシーに近い形に復元するのです。

リバランスの適切なタイミング

ただし、注意したいのは、リバランスもあまり頻繁に行うと害があります。リバランスとは投資信託を売って買うこと。だから、コストがかかります。利益の出ている投資信託を売ったときの譲渡所得税と新たに投資信託を買うときの購入手数料です。経験値として言われているのは「2年と5%」ルールです。

リバランスは2年ごとに行う。2年経たなくても構成比率が5%以上かい離したら、リバランスを行うというのがガイドラインです。逆にいえば、2年経過していない、あるいはかい離が5%未満であるポートフォリオはリバランスの必要がないということです。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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