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【書評】~歴史人物に会う『京都ぼちぼち墓地めぐり』

墓地の近くに住むのは、線香臭い、幽霊がでそうといったネガティブイメージもありますが、線香はアロマ、幽霊も「会いたい歴史上の人物」に会えるチャンスといった考えに共感する人もいるはず。そんな方には本書をお勧めします。ちなみに「墓地がある場所は災害に強い」という一般論もあります、念のため。

田中 和彦

執筆者:田中 和彦

住みやすい街選び(関西)ガイド

平安時代に遷都して以来、1000年以上都であり続けた京都。多くの歴史上の人物が、京都の地を踏み、そして今も京都に眠っています。今回はそんな「京都に眠る人々」を紹介した「京都ぼちぼち墓めぐり」という本を紹介します。

いやしかし、これだけたくさんのお墓をよく調べましたよね~。その数なんと93人+1グループ(新撰組)で、京都中心部から嵐山、伏見、宇治まで広範囲に掲載されています。「尊敬する人のお墓の近所で住む」なんていうちょっとクールな街選びに利用できる一冊です。

お墓巡りに4つのマナー

お墓めぐりって、ちょっと不謹慎、なんて思う向きもいらっしゃるでしょう。そんな心の迷いを断ち切るため、たくさんのお墓の紹介以前にお墓参りのマナーが4つ紹介されています。

  1. 墓地の多くは非公開
  2. お墓には触らない
  3. お花・お供えは持ち帰る
  4. お線香は墓地の状況に応じて

ん?1はマナーではないですぞ??と思い読んでみると「(非公開の墓地は)お参りしたい旨を住職などに丁重に申し入れよう」とのこと。駄目なものでもあきらめず頼んでみるのが有効な様です。

「お墓めぐりの前に」の後は延々と「人物紹介+墓所」の形式で続きます。いくつかご紹介しましょう。

多くの墓参が可能~八坂神社周辺

歴史に残る人物の墓参りを毎日したい、しかもいろんな人のお墓に行きたい。そんな方は東山連峰の麓、八坂神社界隈がGoodです。

京都市営地下鉄東西線「東山」駅の近くには三日天下の明智光秀(明智光秀首塚)。知恩院には日本人初のノーベル賞、湯川秀樹。平氏は平清盛、源氏は木曽義仲。昨今、終わりを知らぬ大ブームの坂本龍馬の墓もあります。

家を買うときには飛び降りたくなる「清水の舞台」で有名な清水寺も周辺にあり休日には観光客でごった返すエリアですが、静かに眠る人が沢山いらっしゃることがよくわかりました。

特急停車の始発駅で墓参~阪急河原町

通勤通学の便も考え、交通至便な場所がいいという方は阪急京都線「河原町」駅界隈がおすすめです。

「河原町」駅から南へ徒歩2分、京都タカシマヤと同じブロックにある聖光寺(しょうこうじ)には20世紀の国民的映画スター嵐寛寿郎、略してアラカン(アラフォーの元ネタ)の墓地があります。

同じく「河原町」駅から北へ徒歩5分には平安時代の女流歌人、百人一首でお馴染みの和泉式部(誠心院)のお墓があります。

また快速急行停車駅である阪急京都線「大宮」駅。ホームは地下にありますが、そのほぼ真上にある妙巌院(みょうごいん)の中には堂本印象のお墓。

ところで、堂本印象って誰?はい、日本画壇の革命児といわれる日本画家だそうです。京都府立堂本印象美術館なんていう施設迄ございますよ。こちらは通常非公開で、拝観希望の場合は書面の提出が必要だとのこと。

ところで本書に掲載されている墓所は、昨日一昨日墓所になったのではなく、少なくとも数百年以上前から墓所としてあり続けている場所です。すなわち地滑りや水害等の災害をくぐり抜けて存在しているということ。一般的に「昔から墓地のあるところは災害に遭っていない場所が多い」とも言います。個別の判断は必要ですが、墓地の近くに住む=安全な街選びにも通じると言えます。

【関連サイト】
近くに墓地があれば説明される?




※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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