名古屋の観光・旅行/名古屋 自腹メシ

どて焼 五條 名古屋自腹メシ第15回

今回、自腹飲みしてきたのは「どて焼 五條」。名古屋一昭和の香りのするアーケード街、円頓寺(えんどうじ)商店街の端っこにある、名古屋メシ・どてが名物の渋~い居酒屋だ。

大竹 敏之

執筆者:大竹 敏之

名古屋ガイド

円頓寺商店街は徳川の時代に築かれた門前町

円頓寺商店街

散策エリアとしても人気が高まっている円頓寺商店街

名古屋駅の北東から名古屋城へと続く円頓寺商店街。名前にもなっている円頓寺は、家康による清須越(名古屋城築城に合わせて、清須から城下町を丸ごと引っ越した)で清須から移築され、その門前町としてにぎわいが形成された場所。明治半ばに名古屋駅が開業するのにともない、劇場や商店が立ち並ぶ一大繁華街となりました。

昭和40年代に市電が廃止されて以降、活気が失われていきましたが、近年はレトロな散策エリアとして再評価され、古い町屋を改装したショップも数多くオープンしています。

オープンして30余年
カウンターだけの空間に漂う昭和の香り

どて焼undefined五條

外観からして渋い「どて焼 五條」。すぐ脇に架かる五条橋は、清洲越にともない清須から名古屋の地に移された

この新旧の魅力を合わせ持つエリアにあって、リアルな昭和の空気が色濃く残ったままなのが「どて焼 五條」。商店街の西端、五条橋のたもとにある居酒屋です。

トタン塀の古い一軒屋は、いかにも歴史を感じさせます。店のオープンは昭和52年ですが、建物自体はもともと八百屋で、居酒屋を始める前は10年前後も空き家だったため、築年数はご主人ですらわからないのだとか。あるものを使う。飲食店にデザインなんて概念がなかった時代のシンプルな姿が、今となっては新鮮です。

どて焼undefined五條

席はカウンターだけで20席。どの席からも店内全体の様子を見渡せる

店内も外観と同様に飾り気ゼロ。コの字のカウンターが壁ぎりぎりのサイズで設えられ、カニ歩きしないと奥へと進めません。しかし、この狭さが他のお客さんとの心理的距離も狭めてくれ、「後ろ通ります」「どうぞどうぞ」と声をかけ合ううちに自然と親近感がわいてきます。

女将さんがかなりぶっきらぼうなので最初はかなりたじろいでしまうのですが、しばらく飲んでいると時折見せてくれる笑顔にほっとし、じわじわと空気になじんでいけます。
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