円頓寺商店街は徳川の時代に築かれた門前町
名古屋駅の北東から名古屋城へと続く円頓寺商店街。名前にもなっている円頓寺は、家康による清須越(名古屋城築城に合わせて、清須から城下町を丸ごと引っ越した)で清須から移築され、その門前町としてにぎわいが形成された場所。明治半ばに名古屋駅が開業するのにともない、劇場や商店が立ち並ぶ一大繁華街となりました。昭和40年代に市電が廃止されて以降、活気が失われていきましたが、近年はレトロな散策エリアとして再評価され、古い町屋を改装したショップも数多くオープンしています。
オープンして30余年
カウンターだけの空間に漂う昭和の香り
この新旧の魅力を合わせ持つエリアにあって、リアルな昭和の空気が色濃く残ったままなのが「どて焼 五條」。商店街の西端、五条橋のたもとにある居酒屋です。トタン塀の古い一軒屋は、いかにも歴史を感じさせます。店のオープンは昭和52年ですが、建物自体はもともと八百屋で、居酒屋を始める前は10年前後も空き家だったため、築年数はご主人ですらわからないのだとか。あるものを使う。飲食店にデザインなんて概念がなかった時代のシンプルな姿が、今となっては新鮮です。
席はカウンターだけで20席。どの席からも店内全体の様子を見渡せる
女将さんがかなりぶっきらぼうなので最初はかなりたじろいでしまうのですが、しばらく飲んでいると時折見せてくれる笑顔にほっとし、じわじわと空気になじんでいけます。